研究解説 · 小互解読

ChatGPT Searchの検索基盤が大きく変化:特定サイトへの「定点取得」が本格化し、GEO戦略に影響

1回の回答で必ずしも全サイトをくまなく探すわけではなくなりました。ChatGPTはまず候補となる情報源を見つけ、その後で特定のサイトを深く調べている可能性があります。検索の順番が変われば、GEOはページのランキングだけでなく、ドメインの選定、ページのヒット、引用の獲得という3段階の競争に広がります。

1分で要点
  • 8月8日以降、Promptwatchが監視したsite:クエリの割合は、1日あたり平均0.368%から16.78%に急増し、約45.5倍になりました。
  • 最も可能性の高い新しいプロセスは、まず全体から候補サイトを発見し、その後で特定ドメインに絞って文書やルール、更新情報を探すというものです。ただし内部実装はまだ公開されていません。
  • これによりGEOは、まずドメインが選ばれ、次にページが引用を目指すという2段階の競争になる可能性があります。サイトは、クロール可能で検証可能な一次情報の構築を優先すべきです。

ChatGPT Searchの検索方法に、すべてのWebサイトが見直しを迫られるような変化が起きています。

これまで、AI検索は「モデルがウェブ全体から関連する結果をいくつか見つけ出し、それを回答としてまとめる」ものだと一般に考えられてきました。しかし、PromptwatchがChatGPTの実際のインターフェースを継続的に監視したところ、8月8日以降、ChatGPTがsite:domain.comを含むバックエンド向けクエリを大規模に生成し始めたことが分かりました。これは、まず特定のWebサイトを特定し、そのドメイン内でさらに資料を探すという動きです。

見出しにある「定点検索」とは、このドメインを限定した検索のことを指します。これはWebサイトの権限を回避するものではなく、ChatGPTがサイト全体を取得することを意味するのでもありません。変化したのは検索の順序です。システムはまず「どのWebサイトを探すか」を決定し、その後でそのサイト内の「どのページを引用するか」を決定している可能性があります。

この変化は、GEOの競争構造を直接的に変えるものです。これまでWebサイトは主にページ単位でのランキングを競ってきましたが、今後はまずChatGPTの候補ドメインとして選ばれる必要があり、そうして初めてページが次の競争段階に進む機会を得られるかもしれません。

ChatGPT Searchに何が起きたのか

Promptwatchは、生成系検索の可視性を監視するGEOプラットフォームです。ChatGPT、Claude、Geminiなどの実際のインターフェース上で、顧客が設定した質問を繰り返し実行し、回答、引用、そしてバックエンドで行われた検索クエリを記録しています。

同社が公開した16日間のデータには、非常に明確な変化の節目があります。8月8日より前の13日間と、それ以降の3日間で、重み付けなしの日次平均をそれぞれ計算すると、次のようになります。

  • すべてのfanoutクエリに占めるsite:付きクエリの割合は、0.368% から 16.78% へと上昇し、実に 約45.5倍 になりました。
  • 検索レスポンス全体のうち、少なくとも一度はsite:クエリを含むものは、0.345% から 12.1% に増加しました。
  • 各検索レスポンスの平均fanout数は、1.06 から 1.837 へと増加し、約73% の増加となりました。

ここで誤解されやすいのは、この割合の基準となる母数です。「約六分の一」というのは、バックグラウンドで展開された検索クエリの割合であり、ChatGPTの全回答の六分の一という意味ではありません。実際にドメインを限定したクエリを含む検索レスポンスは、およそ八分の一です。

最初の元データのグラフを見ると、変化の形がはっきりと分かります。それまでの数週間はゼロに近い水準でしたが、8月8日にほぼ垂直に16%〜17%まで跳ね上がっています。この一日で起きた変化は、多くのWebサイトが時間をかけて最適化を進めた結果というよりは、ChatGPT側が検索戦略やクエリの表示方法を一斉に調整したことを示しています。

Promptwatchのレポート元グラフ。siteクエリがChatGPT Searchの全fanoutに占める割合は、それまでほぼゼロでしたが、8月8日に突然約16〜17%に上昇しました
元グラフ site: クエリが全fanoutに占める割合。この図の価値は断点の形状にあり、ChatGPT全体のランダムなトラフィックを表すものではありません。クリックで原寸を表示します。

二つ目の元データのグラフは、同日に増加したのがsite:という文字列だけではないことを示しています。各回答でトリガーされる検索クエリの総数も、約1.08回から1.83回へと増加しました。これは、ドメインを限定した検索が、従来の検索を単に置き換えたのではなく、その上に新たな層として追加された可能性を示唆しています。

Promptwatchのレポート元グラフ。ChatGPT Searchのレスポンスごとの平均fanoutは、8月8日に約1.08から1.83へ上昇しました
元グラフ 検索レスポンスごとの平均fanout数も同時に上昇しており、新しい検索レイヤーの導入を示唆していますが、個々の回答の具体的なクエリ内容は示していません。クリックで原寸を表示します。
データの限界

Promptwatchが監視しているのは、顧客が設定したプロンプトであり、OpenAIの全量プロダクションログではありません。また、1日あたりのサンプル数、プロンプトのカテゴリ、アカウント、地域分布は公開されていません。監視サンプル内で検索行動に急激な変化があったことは確認できますが、具体的な割合をChatGPT全体のトラフィックに直接外挿することはできません。