Cloudflare AI Search 更新:1 コマンドでサイトに検索を導入、AI Agent から直接呼び出し可能に
- URL を渡すだけで、自動でクロールしてインデックスを構築。あとは
/mcpアドレスが発行されるので、AI Agent がそのままデータを参照できます。 - Cloudflare は自社 10 サイトのドキュメントを 1 つの MCP に集約。コーディング Agent が古い API を出力する問題を解消します。
- 料金は embedding と reranking を無料化。2 万ドキュメント+月 3 万回検索で、公式試算は約 35 ドルです。
AI Search とは何か、そして今回の更新内容
Cloudflare は AI Search を更新しました。これで、1 コマンドで自分のサイトやドキュメント群に検索エンジンを構築できます。さらに、/mcp アドレスが標準で付与されるため、AI Agent がそれをツールとして直接呼び出し、自分のデータを参照できます。
以前はこれを実現するために 5 つの部品を自分で組み立てる必要がありました。今回の更新で、組み立て作業はすべて Cloudflare 側が行います。あわせて料金プレビューも公開され、beta 期間中は引き続き無料です。
以前は 5 つの部品を手組み、今は 1 コマンド
自分のデータを AI から呼び出せる検索にするには、以前は Cloudflare 上で 5 つを組み合わせる必要がありました。Workers AI(モデル)、AI Gateway(呼び出し管理)、Vectorize(ベクトル保存)、Cloudflare R2(ファイル保存)、Browser Run(ウェブクロール)です。これらを自分で配線し、クロール、チャンク分割、ベクトル化、検索という一連のパイプラインも自前で処理しなければなりませんでした。
あわせて、この後の説明で頻出する 2 つの用語を確認しておきます。embedding は、テキストを数値(ベクトル)に変換する処理です。検索時、この数値を比較して意味が近いものを探すため、文字列の完全一致より柔軟です。reranking は、まず粗く絞り込んだ検索結果を、別のモデルで関連性の高い順に並べ直す処理です。これら 2 つは、インデックス作成のたび、検索のたびに実行されます。
新しく加わった 6 つの機能
- sitemap がないサイトも丸ごと収録:sitemap はサイト内の全ページ URL を一覧にしたファイルで、以前はこれがないとサイト全体のインデックスを作れませんでした。今回の Discover モードを選ぶと、ページ上のリンクを辿って自動でクロールします。裏側では Browser Run の
/crawlを使っています。 - 1 つの公開 URL で全データを横断検索:namespace(複数の検索インスタンスを格納する箱)で公開 URL を有効にすると、
/searchと/mcpの 2 つのエンドポイントが発行されます。1 回のクエリで namespace 内の全インスタンスを横断でき、認証不要なので、そのまま顧客に渡せます。 - 独自ドメインを設定可能:エンドポイントを
search.example.com/mcpのような形式にできます。 - 非公開にしたい場合は Cloudflare Access を前面に配置:これを追加すると、エンドポイントへのアクセスにはログインが必要になり、許可したユーザーまたは Agent だけがアクセスできます。
- ハイブリッド検索で精度が向上:ハイブリッド検索とは、セマンティック検索とキーワード検索を 1 回のクエリで同時に実行する方式です。「これは何をするものか」といった漠然とした質問にも答えられますし、特定の固有名詞も正確に見つけられます。
- EmDash サイトはプラグインを入れるだけ:EmDash は Cloudflare 公式のオープンソース CMS です。AI Search プラグインを導入すれば、サイト内コンテンツがセマンティック検索に対応します。
Cloudflare、自社 10 サイトを 1 つの MCP に統合
このセクションが今回の機能を最もよく示しています。なぜなら、これは毎日起こっている問題を解決するからです。
AI コーディングアシスタントが Cloudflare 関連のコードを書くとき、学習データに含まれる古い知識を参照するため、しばしば時代遅れの API を出力します。これまでの対処法は、ウェブ検索をさせてページ全体を取得し、その内容を読ませるというものでしたが、公式はこの方法について「遅く、トークンを消費し、しかも間違ったソースや古いソースにたどり着くことが多い」と評価しています。
彼らのやり方は、次の 3 ステップです。
ステップ 1:サイトごとにインスタンスを作成
彼らは自社 10 サイトそれぞれに検索インスタンスを作成しました。開発者ドキュメント、ブログ、API ドキュメント、コミュニティフォーラム、そして Astro、Vite、Vitest、Hono、Replicate、OpenNext というフレームワークのドキュメントサイトです(これらもすべて Cloudflare 傘下です)。インスタンス作成は 1 コマンドで完了し、sitemap がないサイトにはリンクを辿ってクロールするようパラメータを追加します。
npx wrangler ai-search instance create cloudflare-community \ --namespace dev-stack \ --source https://community.cloudflare.com \ --type web-crawler \ --parse-type discover
ステップ 2:10 のインスタンスを 1 つの検索に統合
方法は 2 つあります。1 つは、Worker を書いて namespace をバインドし、1 回の呼び出しで指定した全インスタンスにファンアウトする方法です。彼らはこれを採用しました。MCP サーバー内のツールとして組み込むためです。もう 1 つは、コードを書かずに namespace で公開エンドポイントを有効にする方法です。これなら即座に全インスタンスを横断検索できる /search と /mcp が得られ、認証もデプロイも不要です。
ステップ 3:ドメイン設定と、必要に応じたロック
公開エンドポイントにはデフォルトのアドレスが用意されていますが、独自ドメインに変更できます。この検索を公開したくない場合は Cloudflare Access を前面に置けば、ログイン必須のプライベートエンドポイントになります。
この 3 ステップを完了すると、結果は 1 つの URL になります。それを MCP 設定に追加すれば、コーディング Agent は 1 回の呼び出しで 10 サイトの最新ドキュメントを横断検索し、出典付きの結果を受け取れます。どのインスタンスからの結果かも記載されています。
{
"mcpServers": {
"dev-stack": { "url": "https://stack.mcp.cloudflare.com/mcp" }
}
}
彼ら自身が「犬食」している範囲はこれだけではありません。ブログの検索は以前から AI Search 上で稼働しており、開発者ドキュメントと Cloudflare.com も今回のアップデートで接続されました。すべてハイブリッド検索を使用しています。
最も見積もりが難しい 2 項目を無料化
まず設計思想から見ていきましょう。料金表そのものより注目に値します。
embedding と reranking は、インデックス作成のたび、検索のたびに実行されます。使用量を事前に見積もるのは最も難しく、ユーザーが何回検索するか、毎回どれだけの結果をリランキングするかは予測できません。公式の対応はこうです。デフォルトモデル、または Workers AI カタログ内の指定モデルを使用する場合、この 2 項目は無料。つまり、請求書の中で最もコントロール不能な部分を丸ごとなくしたわけです。
回答生成とクエリ書き換えはオプションのステップで、自分で選んだモデル上で実行され、Workers AI の使用量に応じて課金されます。AI Gateway のクレジットを使えば任意のモデルを接続することもできます。
| 項目 | プレビュー価格 | 月間無料枠 |
|---|---|---|
| 基本取り込み (Ingestion) | $0.75 / 100万トークン | 500万トークン † |
| 画像処理(オプション) | 追加 $0.50 / 100万トークン | 上と共用 † |
| ストレージ | $2.00 / GB・月 | 10 GB |
| セマンティック検索(ハイブリッド含む) | $0.75 / 1000回 | 2000回 ‡ |
| 全文検索 | $0.10 / 1000回 | 上と共用 ‡ |
| embedding + reranking | 指定 Workers AI モデル使用時は無料 | — |
† 毎月 500 万トークンのプールを各種ファイルタイプで共用。画像も含みます。‡ 毎月 2000 回のプールをセマンティック・全文の両クエリで共用。
公式の試算例
Workers 有料プランで、2 万ドキュメント(約 2000 万トークン)+画像 1000 枚のデータソース、月 3 万回のセマンティック検索、デフォルトの embedding・reranking モデルを使用した場合:
この数字は前提条件とセットで見る必要があります。公式は 1 ドキュメント約 10KB、1 画像約 1MB と見積もり、取り込み時のチャンク分割で約 10% の重複が発生するとしています(そのため請求額には ×1.1 がかかります)。ドキュメントが大きかったり画像が多かったりする場合はこの数字にはなりません。
使う前に知っておきたい 3 つの制約
ウェブサイトソースは、現時点では自分のアカウント配下のドメインのみ。ウェブサイトをデータソースにするには、それが Cloudflare アカウント配下の zone である必要があります。今後、他の所有権確認方法も追加される予定ですが、時期は未定です。これは使えるかどうかを直接左右する条件なので、構築の途中で気づかないようにしてください。
クロールはサイトのクローラールールを尊重します。裏側では Browser Run の /crawl を使用していますが、独自のクローラー ID Cloudflare-AI-Search を持っています。robots.txt を遵守し、固定かつ公開された User-Agent を使用し、サイトの既存クロール制御ポリシーを尊重します。
価格はプレビュー版であり、課金はまだ開始されていません。現在 beta 期間中はすべて無料です。公式は、正式な課金開始前にメールで事前通知すると明記しており、プレビュー価格も課金開始前に変更される可能性があります。
1 コマンドで試せます:
npx wrangler ai-search create my-search \ --namespace my-namespace \ --source https://my-website.com \ --type web-crawler \ --hybrid-search
サイト検索を 1 コマンドで構築、AI Agent から直接利用可能に
Cloudflare が AI Search を更新。手作業での組み立てが必要だった 5 つの部品を 1 コマンドに集約。今回の変更点を図解つきで解説します。
↓ 1 枚で完結 · 動く図つき
Cloudflare が AI Search を更新。1 コマンドで自サイトやドキュメント群に検索を構築でき、標準の /mcp アドレス経由で AI Agent が直接データを参照できます。
+ R2 + Browser Run
クロール・分割・ベクトル化・検索、すべて自前で配線
--source https://my-website.com \
--hybrid-search
✔ 公開 URL 1 つで、認証不要のまま namespace(複数インスタンスの格納箱)内の全データを横断検索
✔ 独自ドメインを設定可能。Cloudflare Access を追加すれば、ログイン必須のプライベート検索に
✔ ハイブリッド検索:セマンティック検索とキーワード検索を 1 回のクエリで同時実行。曖昧な質問も正確な名前検索も対応
✘ ウェブサイトソースは現時点では自 Cloudflare アカウント配下のドメインのみ
AI コーディングエージェントが Cloudflare 関連コードを書く際、学習時の古い知識を参照し、しばしば旧 API を出力します。Cloudflare の対応:開発者ドキュメント、ブログ、API ドキュメント、コミュニティフォーラム、さらに Astro、Vite、Vitest、Hono 等のフレームワークドキュメントそれぞれに検索インスタンスを作成し、1 つの namespace に統合。外部には MCP URL を 1 つだけ公開します。
embedding(テキストをベクトル化して比較可能にする)と reranking(関連性の高い結果を上位に並べ替える)は、インデックス作成・検索のたびに実行され、使用量の事前予測が最も難しい項目です。Cloudflare 指定の Workers AI モデルを使う場合、この 2 項目は無料。請求書の中で最も予測不能な部分が消えました。
この試算は公式の前提(1 ドキュメント約 10KB、1 画像約 1MB)に基づきます。実際の使用量が異なれば数字も変わります。現在の価格はプレビュー版で、正式課金前に変更される可能性があります。
ウェブサイトソースは現時点では自 Cloudflare アカウント配下のドメインのみ。他の所有権確認方法は未実装で、時期も未定です。
クローラーは独立した ID Cloudflare-AI-Search を使用し、robots.txt とサイト既存のクローラー規則を遵守します。
beta 期間中は無料、課金は未開始。正式課金の前にメールで事前通知があり、プレビュー価格も変動する可能性があります。
- × Workers AI
- × AI Gateway
- × Vectorize
- × R2
- × Browser Run
ベクトル化 · 検索
create --hybrid-search
2万ドキュメント+月3万回検索
≈ $35
