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すべてのチームが飛ばしている「第4ステップ」こそが、AIエンジニアリングの核心だ

Everyは一人チームで5つのプロダクトを運営している。核心は機能を完成させるたびにもう一手間かけること——解決策をシステムに保存し、AIが次回から自動的に同じ落とし穴を避けられるようにする。
著者:Every06-28 · 8 分で読了⚑ 公式PR · 立場に注意
深度解説 · 小互解読
速読
  • Everyは「Compound Engineering(複利エンジニアリング)」という方法論を使い、ほぼ一人のエンジニアリングチームで自社の5つのプロダクトを維持している。核心はPlan → Work → Review → Compoundの4ステップサイクルだ。
  • 従来のエンジニアリングはReviewで止まる。第4ステップのCompoundは、毎回解決した問題をシステムの知識に変換し、AIが次回から同種のエラーを自動的に避けられるようにする——効率の差はここから生まれる。
  • この方法論では、エンジニアの作業時間の80%をPlanとReviewに使い、実際にコードを書くのはわずか20%だとしている。
  • 付属プラグインはオープンソース化済みで、Claude Code / OpenCode / Codexに対応。26体の専門agent、23個のワークフローコマンド、13個のスキルを含み、設定不要ですぐ使える。
  • /workflows:reviewを1回呼び出すと、14体の専門agentが同時並行でコードを審査する。/workflows:planでultrathinkモードを開けば、40以上のリサーチagentを同時並行させられる。
⚑立場についての注記:本稿はEveryチームが自社の「Compound Engineering(複利エンジニアリング)」方法論と自社製オープンソースプラグインについて語った実践記です。文中の並行規模・時間配分・プロダクト数はすべて公式発表の数字です。以下ではその仕組みと、それぞれの数字が何を意味するかだけを説明します。
1背景

一人で5つのプロダクトを支える、その仕組み

Everyチームは最近、「Compound Engineering(複利エンジニアリング)」という方法論を公開した。あわせて付属のオープンソースプラグインも公開し、ほぼ一人構成のエンジニアリングチームで、自社の5つのプロダクトを同時に維持する方法を語っている。

5つのプロダクトCora、Monologue、Sparkle、Spiral、そして公式サイトEvery.to。各プロダクトのエンジニアリングチームは基本的に1人しかいない。この規模を支えているのは長時間労働ではなく、4ステップのサイクルのうち、ほとんどのチームが省いてしまう最後の1ステップだ。

◆
なぜ注目に値するか:Everyは普段社内でしか回していないものをオープンソース化した。14体のAIが同時に1つのコードを審査すること、計画段階で40以上のリサーチagentを同時並行させること、加えて26体の専門agent。これは現時点で公開されているマルチagent並行エンジニアリングの実践例の中で、最も具体的な数字を伴うオープンソース参考例の1つだ。
2問題

コードが触れなくなっていく根本原因はどこにあるか

ほとんどのコードベースは時間とともに保守が難しくなっていく。理由は単純だ——機能を1つ追加するたびに、システムに新しい複雑さを注入することになり、新機能は既存のすべての機能と「交渉」しなければならなくなる。10年経つと、チームは新しいものを作るより過去のコードと格闘する時間の方が長くなり、コードはどんどん理解しづらく、変更しづらく、信頼しづらくなっていく。

Compound Engineeringはこの曲線を逆転させる。機能はもうシステムへの負担ではなく、システムに新しい能力を教え込むものになる。バグを1つ直せば、ついでに将来起こりうる同種のバグの一群を消し去る。1つの解決策が固化されれば、次回そのまま再利用できるツールになる。反復するほど、システムは使いやすくなっていく。

従来:変更するほど大変に Compound Engineering:使うほど楽に 機能・反復が増えるほど → 1箇所変更するのに必要な労力 →
同じ横軸(機能・反復が増えるほど)で、2つの異なる方向性。従来のコードベースは1箇所変更するのがどんどん大変になる一方、Compound Engineeringは反復のたびにシステムをより使いやすくしていく。
3メインサイクル

4ステップのサイクル:時間の80%はコードを書いていない

この規模を支えているのは、Plan(計画)、Work(実行)、Review(審査)、Compound(固化)という4ステップのサイクルで、これを繰り返す。5分でバグを1つ直す場合でも、数日かけて機能を1つ作る場合でも、通るのはこの4ステップで、違うのは各ステップにかける時間だけだ。

最初の3ステップはどの開発者にもおなじみだが、第4ステップのCompoundこそがCompound Engineeringと普通のエンジニアリングを分ける境界線だ。これを飛ばせば、やっていることは単なる「AIアシスタント付きの従来型エンジニアリング」でしかない。

Plan 計画 Work 実行 Review 審査 Compound 固化 従来型はここで終わり ✕ Compound Engineeringはここをもう1歩進む 繰り返し:次のサイクルは前回固化した知識を自動的に持ち越す ↻
4ステップが深緑のトラックを順に流れる。従来型エンジニアリングはReviewで手を止めるが、Compound EngineeringはさらにCompoundを1歩進め、そのサイクルで学んだことを次のサイクルに残す。

直感に反する点:コードを書くのはわずか2割

PlanとReviewを合わせるとエンジニアの時間の80%を占め、実際に手を動かして書くこと(Work)と固化すること(Compound)は合わせて20%しかない。大半の思考は、コードが書かれる前と後に起きている。

計画+審査
80%
実行+固化
20%
4ステップそれぞれが何をしているか / Everyが捨てるべきだとする旧来の思い込み
Plan 計画:アイデアを設計図に変える。要件と制約を整理し、コードベース内の同種機能がどう実装されているか調べ、フレームワークのドキュメントとベストプラクティスを確認し、方案を設計し、その方案が成り立つか検証する。
Work 実行:まずgit worktree(あなたのリポジトリの隔離されたサンドボックスコピー。複数のタスクをそれぞれ別々に並行して動かし、互いに干渉させないようにできる)で隔離環境を切り出し、agentが計画に沿って段階的に実装、1箇所変更するたびにテスト、linting(自動コードチェック)、型チェックを走らせる。
Review 審査:複数の専門agentが並行して審査し、問題をP1(必須修正)/ P2(修正すべき)/ P3(修正してもよい)に分類する。修正後は再検証し、今回何が起きたかを記録する。
Compound 固化:解決策を再利用可能な知識に抽出しシステムに書き戻す。次のセクションで詳しく説明する。
Everyはさらに、捨てるべきだとするいくつかの旧来の思い込みを挙げている。「コードは手で書くべき」(あなたの職責は保守可能で、正しい問題を解決する良いコードを生み出すことであり、誰がキーボードを叩くかは重要ではない)。「初版から完璧に書くべき」(彼らの経験では初版の95%はゴミで、2版目でもまだ50%はゴミだ。これはプロセスであり、目標は3版目が初版より早く着地するくらい速く反復すること)。「自分の手で書かなければ学べない」(今日では、筋肉記憶より理解の方が重要。AIによる10個の実装を審査する方が、自分で2個書くより多くのパターンを学べる)。「コードは自己表現である」(コードは決して個人の所有物ではなく、チーム、プロダクト、ユーザーに属する)。
4第4ステップ · 核心

第4ステップの具体的な中身:解決策をシステムの記憶に変える

最初の3ステップ(計画・実行・審査)が生み出すのは「1つの機能」だ。第4ステップのCompoundが生み出すのは「毎回機能をより良く作れるようになるシステム」だ。これは4つの動作に落とし込まれる。

① 解決策を記録何が効いて、何が効かなかったか、再利用できる点はどこか
→
② メタデータを付与YAML frontmatterでタグ付けし、後から検索しやすくする
→
③ CLAUDE.mdを更新新しいパターンをagentが起動のたびに読むファイルに書き込む
→
④ 学習を検証次回、同種の問題を自動で受け止められるか

2番目のステップにあるYAML frontmatterとは、ドキュメント冒頭に付けるメタデータタグ(タイトル、分類、キーワード)のことで、この解決策が後から条件で検索・正確に取り出せるようにするためのものだ。書いた後に大量のドキュメントに埋もれて見つからなくなるのを防ぐ。

複利の源泉

従来の開発は第3ステップの審査で止まるが、Compound Engineeringはもう1歩進み、解決したばかりの問題をシステムに書き込む。このステップはコードを生み出さない。生み出すのは「システムが次回から同種の問題を自動的に避けられる」能力だ。効率の差はここから生まれる。

たとえるなら

CLAUDE.mdはプロジェクトのルートディレクトリに置かれた「AI操作マニュアル」で、agentは起動するたびにまずこれを読む。新入社員が入社時に必読するSOPマニュアルのようなもので、誰かがそれまで遭遇したことのない問題を解決するたびに、ルールを1条書き足す。次に来た人は自動的にそれを理解でき、同じ落とし穴をもう一度踏まずに済む。

次の切り替えで、このルールが積み上がった後の違いを直感的に見ることができる。

蓄積なし、その場でひたすら調査

agentはこの落とし穴を知らない。あなたはagentと一緒にデバッグし、原因を特定し、修正する。修正後、Compoundステップが「なぜ起きたか、どう避けるか」をCLAUDE.mdに書き込み、YAMLタグ付きのドキュメントを1本docs/solutions/に保存する。今回は記録に少し余分な時間がかかった。

システムはすでに覚えている

agentは起動した瞬間にそのルールを読み込んでおり、docs/solutions/でも前回の解決策を検索できる。だからPlan(計画)段階で、agentは同種の問題を先回りして避け、そもそもバグが出るところまで到達しない。前回記録にかかった時間は、ここで元利合わせて回収される。

Compoundを1回終えるたびに、CLAUDE.mdに知識が1条増え、システムは使うほど賢くなる。

CLAUDE.md · 第1回反復
知識1条
CLAUDE.md · 第3回反復
知識3条
CLAUDE.md · 第5回反復
知識8条
docs/solutions/がどう組織の知識ベースへと積み上がっていくか
解決済みの問題はすべてYAML frontmatter付きのmarkdownとして保存され、自動的に分類・タグ付けされる。Everyはこのステップを/workflows:compoundコマンドで実行しており、6体のサブagentを並行して派遣する——問題を理解するagent、解決策を抽出するagent、関連する過去のドキュメントを見つけて相互リンクするagent、「どう再発を防ぐか」を書くagent、分類タグを付けるagent、最後にドキュメントとして整形するagentだ。以後どのセッションでも、この山のようなドキュメントから過去の解決策を自動的に探し当てられ、ベテランエンジニアの頭の中の記憶に頼る必要がなくなる。
5並行審査

14体のAIが同時にコードを審査してくれる

1件のPR(コード変更の提出)が来ると、/workflows:reviewコマンドが14体の専門agentを一斉に派遣し、同時に走らせる。それぞれが1つの観点だけを見る——セキュリティ、パフォーマンス、アーキテクチャ、データ、コード品質、フレームワーク規約など。各自が個別にチェックし、最後に結果を統合してP1(必須修正)/ P2(修正すべき)/ P3(修正してもよい)で優先順位付けされた一覧にまとめる。

1件の PR 14体の専門agentが同時に稼働 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
1件のPRが14体のagentに一斉に放射状に伝わる。色は下の観点分類に対応している。並行して走るのであって、順番待ちではない。
01security-sentinel · セキュリティ
OWASP Top 10(最も悪用されやすいとされる10種のWebセキュリティ脆弱性)、インジェクション攻撃、認証・権限昇格をスキャン。
02performance-oracle · パフォーマンス
N+1クエリ、インデックス不足、キャッシュ可能箇所、アルゴリズムのボトルネックを見つける。
03architecture-strategist · アーキテクチャ
システム設計、コンポーネントの境界、依存の方向を評価。
04pattern-recognition-specialist · アーキテクチャ
設計パターン、アンチパターン、コードスメルを識別。
05data-integrity-guardian · データ
データベースマイグレーション、トランザクション境界、参照整合性を検証。
06data-migration-expert · データ
IDマッピング、ロールバック安全性、本番データ検証をチェック。
07code-simplicity-reviewer · 品質
YAGNI(使うかもしれない機能を先回りして書かない)を徹底し、余分な複雑さを見つける。
08kieran-rails-reviewer · 品質
Rails規約、Turbo Streams、モデルとコントローラの責務分担。
09kieran-python-reviewer · 品質
PEP 8規約、型アノテーション、Pythonicな書き方。
10kieran-typescript-reviewer · 品質
型安全性、モダンなES記法、クリーンアーキテクチャ。
11dhh-rails-reviewer · 品質
37signals流:抽象化より単純さを優先。
12deployment-verification-agent · デプロイ
リリース前チェックリスト、リリース後の検証手順、ロールバック計画を生成。
13julik-frontend-races-reviewer · フロントエンド
JavaScriptとStimulusコントローラ内の競合状態を見つける。
14agent-native-reviewer · Agent-native
機能が人間だけでなくagentでも使えることを確認。
N+1クエリとは何か

02番のagentが専門に見張っているN+1クエリとは、データベースのパフォーマンスにおけるよくある落とし穴だ。100件のリストを1回クエリするつもりが、書き方を誤ると各行ごとに個別クエリが発生し、合計101回のリクエストになる。スーパーで10品買うのに11回足を運ぶようなものだ——まず何があるか見に行き(1回目)、その後1品ずつ取りに戻る(残り10回)。

14系統の並行結果はマージ・重複排除され、優先順位付きの一覧にまとめられる。だいたいこんな見た目になる。

P1 · 必須修正
☐ 検索クエリにSQLインジェクションの脆弱性 security-sentinel
☐ ユーザー作成にトランザクションが欠けている data-integrity-guardian
P2 · 修正すべき
☐ コメント読み込みにN+1クエリがある performance-oracle
☐ コントローラにビジネスロジックが混入している kieran-rails-reviewer
P3 · 修正してもよい
☐ 未使用の変数が1つある code-simplicity-reviewer
一覧ができた後どう処理するか
/resolve_pr_parallelがすべての問題を自動処理する。まずP1、次にP2の順に修正し、それぞれの修正は隔離されて走るので互いに干渉しない。最後に生成された変更を人間が一通り確認する。先に絞り込んでから修正したい場合は/triageを使う——1件ずつ人が承認(TODOに入れる)、スキップ(削除する)、優先度変更のいずれかを決め、承認したものはstatus: readyとして/resolve_todo_parallelに引き渡す。
6プラグイン

プラグインの中身と使い方

一連の流れは1つのプラグインにパッケージ化されており、インストールすればすぐ使える、設定不要。Claude Codeに対応し、OpenCodeとCodexも実験的にサポートしている。

26
専門agent
それぞれ1つのことだけに特化:14体のreview専門家に加え、リサーチ型、設計型、自動化、ドキュメント型。
23
ワークフローコマンド
メインサイクルのコマンド(plan / work / review / compound)に加え、実用ツール群のコマンド。
13
スキル
すぐ使えるドメイン知識、たとえばagent-nativeアーキテクチャスキルやスタイルガイドスキルなど。

各ファイルの役割

CLAUDE.mdagentが起動のたびに必ず読む操作マニュアル:好み、規約、踏んだことのある落とし穴。
docs/solutions/解決済みの問題を検索可能なドキュメントとして保存し、次のセッションで自動的に見つかる。
docs/plans/ · brainstorms//planと/brainstormの出力先。
todos/reviewで見つかった問題。優先度とステータス付き。

2行のコマンドでインストール完了(Claude Code)

claude /plugin marketplace add https://github.com/EveryInc/every-marketplace claude /plugin install compound-engineering
OpenCode / Codexのインストールコマンド、および1コマンドで全パイプラインを実行する方法
bunx @every-env/compound-plugin install compound-engineering --to opencode
bunx @every-env/compound-plugin install compound-engineering --to codex
/lfg:機能の説明を書くだけで、一連のパイプライン全体を自動で繋げて実行してくれる——計画 → 計画の深化 → 実行 → 審査 → 問題修正 → ブラウザテスト → 機能デモの録画 → 固化、という流れを通しで、50体以上のagentを派遣し、最後にそのままマージできるPRを渡してくれる。途中で止まるのは計画の承認箇所だけだ。
7数字

キーとなる数字:並行agentの規模はどれくらいか

このシステムの規模をいくつかの具体的な数字に落とし込んでみる。

5製品
Everyがこの方法論で維持しているプロダクト数。エンジニアリングチームは基本的に1人構成。
80% / 20%
計画+審査がエンジニアの時間の80%を占め、実行+固化は20%のみ。
14体
/workflows:reviewを1回呼び出したときに同時に走る専門審査agentの数。
40体以上
/workflows:planでultrathinkモードを開いたときに派遣されるリサーチagentの数。
26 / 23 / 13
プラグインに含まれる専門agent数 / ワークフローコマンド数 / スキル数。
すべてのエンジニアリングの仕事は、その後に続く仕事をより簡単にするべきであって、より難しくするものであってはならない。Every『Compound Engineering』
本稿はEveryチームが自社の「Compound Engineering(複利エンジニアリング)」方法論とオープンソースプラグインの実践について語ったものです。文中の並行規模・時間配分・プロダクト数はすべて同社の公式発表による数字です。原文:Every『Compound Engineering』、every.to/guides/compound-engineering。プラグインのオープンソース公開先:github.com/EveryInc/compound-engineering-plugin。
出典
EveryEvery·原文を見る
``` 需要我把这个写入 `compound-engineering-fourth-step.ja.html` 文件吗?需要你确认一下写文件权限。
↑ 本文ここまで
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