プロダクト発表・小互による解説

DeepSeek、正式版「DeepSeek-V4-Pro」と自社製Harnessを発表、API価格も大幅引き上げ

219個のパッケージ、MITライセンス。既存のhooksやスキルはそのまま移行可能

60秒でわかる要点
  • DeepSeek が自社製 Agent シェルをまるごとオープンソース化。Node を入れれば npx 一発で起動できます。
  • 他社がコアに組み込んでいる計画モード、サブエージェント、権限承認、MCPを、すべて取り外し・交換可能なプラグイン化。メインループも例外ではありません。
  • V4-Proの公開Agentスコアはこのツールで計測。そのスコアを出した設定ファイルでは、モデルに与えたツールは2つだけでした。
  • 同日、8月17日からの値上げも発表。キャッシュヒット時のピーク価格は現在の12倍になります。
立場の表明:本記事の材料は DeepSeek が公開したリポジトリのソースコード、公式 X アカウント、API ドキュメントによるものです。ベンチマークの数値は開発者による自己評価であり、第三者の再現はありません。文中の値上げ倍率はすべて、当サイトが公式の新旧料金表から算出しました。dsh の動作説明はソースコードとドキュメントに基づくもので、当サイトでの実際のデプロイ・実行は行っていません。
はじめに

DeepSeek、1日で3つの大きな発表

8月13日、DeepSeekは1日で3つのことを発表しました。

1つ目、DeepSeek Harness(dsh)のオープンソース化。Claude Code や Codex と同じ種類の Agent シェルです。計画モード、サブエージェント、権限承認、MCP 接続といった、他社製品ではコアに組み込まれている機能を、すべて取り外し・交換可能なプラグインとして実装しています。Agent のメインループ自体も同様です。これまで使ってきた資産にも対応していて、Claude Code の hooks やスキルはそのまま利用でき、サブタスクをあなたのマシン上の本物の Claude Code に任せることもできます。

2つ目、DeepSeek-V4-Pro正式版。アップグレードの焦点は「実際に手を動かして作業を完了する能力」です。リポジトリの変更、コマンド実行、一連の作業を最初から最後までやり遂げる、といったタスクのスコアが軒並み倍増しています(DeepSWE は 12.8 → 62.7)。この分野では現在 Opus-4.8 を上回り、Kimi-K3 や Fable 5 に肉薄。知識・推論ではまだ差があり、HLE は 42.7 で、Fable 5 の 53.3 には及びません。

3つ目、APIの全面値上げ。8月17日0時よりピーク時とオフピーク時の2段階料金になります。キャッシュヒット時の入力価格は12倍、出力は4.5倍に引き上げられます。

最初の2つは、同じ1つの物事の表と裏です。V4-Pro のベンチマーク表の下部にある注釈に、公開されている Code Agent タスクは「DeepSeek Harness(minimal モード)」でテストした、と明記されています。

19:31 V4-Pro 発表 公式 X にベンチマーク表 19:56 Harness 公開 GitHub にリポジトリ作成、MIT 8/17 00:00 新料金 発効 ピーク/オフの2段階に ベンチマーク表の下部にあった小さな注釈 公開 Code Agent スコアは DeepSeek Harness の minimal モードでテスト、設定は max
時刻はすべて北京時間。2つの発表の間は25分です。

つまり、今日オープンソース化されたこのシェルが、DeepSeekがこれらのスコアを計測した際に使ったものなのです。ベンチマーク時にどの機能を有効にし、どれを無効にしたかは、リポジトリ内の設定ファイルを1行ずつ確認できます。

概念

harnessとは、モデルの外側にある1枚の殻

大規模言語モデル自身ができることは1つだけです。テキストを受け取って、テキストを返すこと。ファイルを開いたり、コマンドを実行したり、昨日の会話を覚えていたりすることはできません。これらはすべて外側のプログラム、つまりシェルの仕事です。あなたのプロジェクトのファイルを読んでモデルに見せ、モデルが「npm test を実行したい」と言えば、実際にそれを実行して出力結果をモデルに渡し、モデルがファイルを変更したいと言えば、それを許可すべきか、ユーザーに確認すべきかを判断します。

この外側のプログラムを harness と呼びます。Claude Code も、Codex も、Cursor の Agent モードも、すべて harness です。同じモデルでも、どの harness に載せるかで作業能力は大きく変わります。シェルが、モデルが見えるもの、触れるもの、そして行き詰まったときの挙動を決めるからです。

HARNESS(外側の殻) 大規模言語モデル できるのは:文字の入出力のみ テキスト テキスト ファイルを読んで渡す モデルはディスクに触れない コマンド実行を代行 出力をモデルに返す 変更を監視・制御 必要ならユーザーに確認 プロセスを記録 次のターンに引き継ぐ
当サイトによる模式図。中央がモデル、外側のひと回りがすべてシェルの仕事です。
たとえるなら

モデルはエンジン、harness は車体です。ハンドル、アクセル、ブレーキ、計器盤。エンジンが優れていても、車体がなければ走れません。同じエンジンを載せても、車が違えば運転感覚はまったく別物です。

設計思想

計画モード、サブエージェント、権限、MCP はすべてコアの外

世の中の Agent ツールは、ほとんどが機能をコアに組み込んでいます。計画モード、サブエージェント、権限承認、MCP 接続、コンテキスト圧縮。どれも製品に内蔵された固定機能です。パラメータで調整やオン/オフはできても、交換はできません。不満があればプロジェクト全体をフォークするか、ベンダーがオプションを追加してくれるのを待つしかありません。

dsh は逆の設計です。core ディレクトリにあるのは 8 パッケージだけ。セッションログ、システムプロンプト組み立て、ツールレジストリ、Agent インターフェース、デフォルトドライバ、スコープのプリミティブ。上記の機能はどれもここにはありません。

一般的な実装 DSH コア:機能はすべて内蔵 計画モード サブエージェント 権限承認 MCP 接続 コンテキスト圧縮 メインループ 交換不可、調整のみ core · 8パッケージのみ セッション・プロンプト・ツール表・Agent I/F ↓ 以下はすべてコアの外、脱着可能 計画モード サブエージェント 権限承認 MCP 接続 コンテキスト圧縮 Web/CLI フロントエンド
当サイトがリポジトリのディレクトリ構造に基づき作成。左は一般的な実装のイメージ、右のパッケージ分けは dsh の実際の構造です。

計画モードは 1 つのプラグイン、サブエージェントは 11 パッケージ・7 種類のプロバイダ、権限承認は 2 パッケージ、MCP 接続はクライアントプラグイン 1 つ、コンテキスト圧縮は 4 パッケージ。ToDo リスト、スケジュールタスク、バックグラウンドジョブもそれぞれ独立しています。UI も同様で、Web UI は apps/web、CLI は apps/cli です。ターミナル UI はプロファイルを自分でインストールする必要があり、ディストリビューションには同梱されていません。

この原則は Agent のメインループにまで貫かれています。コントリビューターへのルールは明確に定められています。新しい振る舞いは、ドキュメントに記載された拡張ポイントにのみ追加すること。メインループ自体を変更する場合は、同じ変更の中でアーキテクチャドキュメントも更新すること。

特権的なカーネルにパッチを当てる必要はありません。dsh を拡張する方法は、プラグインを他のプラグインの隣にマウントすることです。各登録は副作用であり、そのプラグインがアンロードされるときに取り消されます。

docs/architecture.zh.md
たとえるなら

他社の Agent ツールは密閉された機械のようなもので、ベンダーが外殻にいくつか拡張用のポートを用意しています。dsh は、エンジンを含む機械全体が LEGO ブロックで組まれていて、交換したいブロックを自由に外せます。外したブロックが残した痕跡も自動的に綺麗に消えます。

代償も確かにあります。まだ開発者プレビュー段階で、README の最初の行に、将来の破壊的変更があり得ると明記されています。プラグイン設定の上書きは行単位の置き換えで、ディープマージの仕組みはありません。

組み立て

メインループすら交換可能なプラグイン

この分解設計を支えているのが Cordis というフレームワークです(ソースコードはリポジトリの vendor/ ディレクトリにまるごと取り込まれています)。Cordis の役割は、各プラグインが共有コンテキストにサービス、イベント、副作用を追加できるようにし、プラグインがアンロードされるときに、追加したものを自動的に取り消すことです。

この基盤の上で、製品のすべての部分がプラグインとして作られています。モデルアダプタも、ツールレジストリも、セッションログも、Agent ループ自体もプラグインです。

具体的な仕組みはこうです。起動する dsh はプラグインツリーで、いくつかの設定レイヤーが順番に積み重なって構成されます。最下層は dsh-base で、モデルアダプタ、ツール、永続化、サンドボックスと承認ポリシー、設定、資格情報、テレメトリーを搭載。その上に dsh-web-app を重ねるとブラウザ UI が追加され、dsh-headless を重ねると、タスクを実行して結果を出力して終了する、サーバーレスの動作になります。最上位に、あなた自身の変更が重なります。

空のプロファイルルート · まだ何もない dsh-base モデル・ツール・永続化・サンドボックス・資格情報・テレメトリー dsh-web-app または dsh-headless Web UI を追加、または実行して終了 あなたの cordis.patch.yml 置き換えたい行を書くだけ 上ほど後に適用、後の行が優先
当サイトによる模式図。dsh --profile web --dump-config で実際に起動するツリー全体が出力され、出力されたどの行も自分の 1 行で上書きできます。

先ほど述べた行単位の置き換えはこのレイヤーで発生します。1 つの行の 1 つのフィールドだけを変更したい場合でも、その行の他の必要なフィールドをすべて書き直す必要があります。

ルール

モデルが見たものはすべてログに残り、能力はセットで交換する

ここまで細かく分解しても、2 つのルールでまとまりを保っています。

1. モデルが見たすべての文字は、ログから再構築できなければならない

セッションログは追記専用のイベントストリームで、モデルが各リクエストで見るコンテキストは、このストリームから投影されます。ルールは逆に定められています。モデルのリクエストに到達するものはすべて、ログから再構築できなければならない。しかも、これを監視するランタイムアサーションが存在します。モデルが見える新しいものを追加したい場合は、同時にセッションイベントを追加する必要があり、こっそり追加することはできません。

このルールが保証するのは、セッションの一時停止、再開、任意の時点からの分岐が可能で、リプレイした内容が当時と完全に一致すること。モデルが見える状態が、ログの外に隠れていることはありません。

2. 1 つの能力は、3 つの役割が揃って初めて成立する

dsh は「1 つの能力」を 3 つの役割で定義します。インターフェースを宣言するもの、実装するもの、使用するもの(通常、モデルに提供するツール)です。3 つを一緒に設計し、1 つ欠けても能力とは見なされません。

上で使うツール(そのまま) Bash 永続ターミナル 言語サーバー 同じインターフェース:ファイルシステム+プロセス 実装 A:自分のマシン上で実行 実装 B:リモートサンドボックスで実行
当サイトによる模式図。下のレイヤーを A から B に交換しても、上の 3 つのツールは 1 行も変更する必要がありません。

最下層を交換すれば、上はすべて連動します。ファイルシステムとプロセスが同じ実行環境を共有しているため、それらをリモートサンドボックスに向ければ、Bash、永続ターミナル、言語サーバーが一緒に移行します。ツールごとにリモート版を個別に作る必要はありません。サブエージェントも同じ考え方で、インターフェースは「自己完結型のタスクを受け取り、最終的な回答を返す」こと。背後で同じプロセスから fork するのか、他社製品を起動するのかは、上位レイヤーにとって違いはありません。

ツール

Code Mode、ralph、そしてセルフプラグイン

すべてを交換できるなら、デフォルトで入っているのは何か。定番は揃っています。30 個ほど。bash、ファイルの読み書き・編集、globgrep、Web 検索と取得、ToDo リスト、計画モード、言語サーバー、永続ターミナル(毎回新規に起動するのではなく、1 つのターミナルセッションを使い回してコマンドを送る)、バックグラウンドタスク、スケジュールタスク、サブエージェントへのタスク委譲と相互メッセージング、過去のセッションを検索する session_search。MCP サーバーにも接続でき、接続したツールはモデルから見るとネイティブツールと変わりません。

さらに、他のシェルではあまり見かけないツールが 3 つあります。

1. Code Mode:モデルがプログラムを書いてツールを一括呼び出し

一般的な方法では、モデルが「このツールを呼びたい」と言うたびに、シェルが実行して結果を返し、次のステップを待ちます。ファイルを検索して、いくつか選んで読む、という作業でも何往復も発生します。さらに、各ラウンドの中間結果がすべてモデルのコンテキストに積み上がっていきます。

run_code は別の方法を取ります。モデルが TypeScript の小さなプログラムを書き、その中で await tools.grep(...)await tools.read(...) のような形で一連の呼び出しを繋げて、一気に実行。最後に必要な結果だけを返します。

一般的な方法 CODE MODE モデル ツール 何度も往復 中間結果がすべてコンテキストに蓄積 モデルがプログラムを書く await tools.grep(…) await tools.read(…) …不要なものを除外 return 結果3行 1回の呼び出しで完了 return の分だけが入る
当サイトによる模式図。往復回数はイメージです。節約されるのは主にコンテキストで、不要な中間出力はモデルの視界に入りません。
たとえるなら

以前は小さな用事のたびに電話で確認し、10 件あれば 10 回かけていました。今は 1 枚のリストを渡してまとめて処理してもらい、最終結果だけ報告を受けるイメージです。

2. ralph:ラウンドごとに真新しいエージェントが担当

変更してはいけない目標を与えると、各ラウンドで真新しいサブエージェントが起動します。新しいエージェントは、前のラウンドの会話を一切見ることができません。ラウンド間で引き継がれるのは 2 つだけ。ワークスペース内の実ファイル(これが長期記憶です)と、短い構造化レポートです。レポートが「完了」と報告するか、「行き詰まった」と報告するか、ラウンド数が尽きるまで続きます。

目標:1文字も変更するな 第 1 ラウンド 新しいエージェント 第 2 ラウンド 新しいエージェント 第 3 ラウンド 新しいエージェント …… ラウンド間で渡すのは構造化レポートのみ、前ラウンドの会話は破棄 共有ワークスペース(全ラウンドで同じファイル) 変更したファイルはここに残る。これが唯一の長期記憶
当サイトによる模式図。ツールの説明には、ユーザーが明示的に要求した場合のみ使うべきで、通常の長期的なタスクには goal ツールを使うべきだと明記されています。

3. cordis:エージェントが自分自身にプラグインを追加

これは 4 つのアクションと 1 つの読み取り専用レポートです。操作対象は現在実行中のプロセスであり、ディスク上の設定ファイルではありません。

1
定義cordis_define で新しいプラグインを登録。この時点では何も実行されず、セッションにはカードと起動コントロールが表示されます。
2
起動cordis_run がサンドボックス内でホスト側を評価し、ブラウザ側を開いているすべての Web ページに配信します。
3
停止cordis_stop が完全に停止するまで分解し、ページから撤回します。ただし定義は残るので、いつでも再起動できます。
4
破棄cordis_undefine で定義ごと削除。カードはアンロード済みレコードとしてセッションに残ります。

ステップ 2 の「ブラウザ側」に注目してください。エージェントは UI をその場で書いて、あなたが開いている Web ページに直接配信できます。付属の cordis_inspect を使えば、エージェントは自分のプロセスのリアルタイム状態を読めます。どんなサービスがあるか、どのプラグインが生きているか、どのツールが登録されているか。

互換性

既存の hooks とスキルはそのまま移行可能

では、すでに Claude Code を使っている人にとって、移行コストはどのくらいでしょうか。ほとんどの資産はそのまま使えます。

既存の hooks はそのまま動作します(hooks とは、特定のタイミングで自動的に発火する小さなスクリプトで、例えばファイル変更前にフォーマットチェックを実行する、などです)。dsh には 2 つのブリッジプラグインがあります。1 つは Claude Code の hooks.json を読み込み、${CLAUDE_PLUGIN_ROOT}${CLAUDE_PROJECT_DIR} の変数置換まで再現します。もう 1 つは Codex の hook 設定を読み込みます。終了コードの規約も踏襲しています。終了コード 2 は、操作をブロックし、stderr の内容を理由として表示します。複数の hook が同時にヒットした場合は最も厳しいものが優先され、deny は ask に勝り、ask は allow に勝ります。

スキルもそのまま読めます。SKILL.md 形式のスキルファイルを 2 か所スキャンします。自分の ~/.dsh/skills と、~/.agents です。設定フィールドではこれを「スキルスキャン互換のための共有エージェント設定ルート」と呼んでいます。

逆に、本物の Claude Code にタスクを委譲することもできます。サブエージェント機能には 7 種類のプロバイダがあり、そのうち 2 つは外部製品です。1 つは公式の Claude Agent SDK を呼び出し、マシン上の claude コマンドを探します。もう 1 つは公式の codex app-server --stdio を起動します。自己完結型のタスクを渡して、最終的な回答だけを受け取ります。渡された Claude Code は、あなたのマシン上の元のアカウントと設定を使用します。ドキュメントには、これらのファイルをコピーもフィルタリングもせず、ログイン状態を作成・変更もしないと明記されています。

hooks.json SKILL.md MCP サーバー Claude Code Codex dsh すべてネイティブとして使用 自己完結型タスクを委譲 最終回答だけを受け取る
当サイトによる模式図。最初の 3 つは既存資産の取り込み、最後は逆方向のタスク委譲です。

これを可能にしているのも、先ほどの 3 点セットのルールです。サブエージェントのインターフェースは「自己完結型タスクを受け取り、最終回答を返す」こと。このインターフェースを満たせば誰でもプロバイダになれます。他社の完成品でも構いません。

hook ブリッジにも境界はあります。ネイティブプラグインはこのブリッジができるすべてのことを、より強力に、型付きで、シリアライゼーションのオーバーヘッドなしで実現できます。ブリッジは既存設定をすぐ使うための互換パスであり、カスタマイズするならネイティブプラグインを書くべきです。

逆方向も可能です。DeepSeek の API は、Claude Code、GitHub Copilot、OpenCode などのツールのバックエンドモデルとして、コード変更なしで直接使用できます。シェルとモデルの交換を、今は別々に行えます。

権限

サンドボックスが起動できなければ、作業を拒否する

しかし、これらのツールを AI に渡して、間違ったコマンドを実行されたらどうなるのでしょうか。このシェルには 3 段階の権限があり、デフォルトは最も厳しいものです。

read-only
デフォルト。問題が起きても誤操作は防げます。一時ディレクトリへの書き込みも禁止。
workspace-write
ワークスペースへの書き込みのみ許可。Windows では、このセッション専用のプライベート一時ディレクトリが追加で与えられます。
danger-full-access
ファイル変更の制限なし。ベンチマーク環境で使われたのはこのモードです。

各プラットフォームはネイティブな仕組みを使います。Linux は bwrap を優先し、使えなければ Landlock(そのために独自の C 拡張を書いています)。macOS は Seatbelt、Windows は ACL 制限付きトークンです。

サポート外のプラットフォーム、またはサンドボックス機構が起動できない場合は、SANDBOX_UNAVAILABLE を返して実行を拒否します。「制限なしにしておくか」と静かにフォールバックすることは絶対にありません。作業ができなくなる方がましで、知らないうちに権限を緩めることはしません。

現在どのモードかは、メッセージとしてモデルにも伝えられます。ただし最初の 1 回と、ポリシーが変更されたときだけです。繰り返し表示されません。

実証

DeepSeek はベンチマーク時に 2 つのツールしか使っていない

では、DeepSeek 自身はこのツールで、実際にどの機能を使っていたのでしょうか。

ベンチマークの注釈にあった minimal モード。設定ファイルはリポジトリ内にあります(examples/jsonrpc-agent/minimal.cordis.yml)。1 行ずつ確認できます。モデルに与えられたものは 2 つだけです。

MINIMAL.CORDIS.YML · ベンチマーク用の設定 システムプロンプト、たった 1 文 You are a helpful software engineer assistant. ✓ 永続 bash 状態保持、タイムアウト 5 分 ✓ 文字列置換エディタ 出力上限 16000 文字 以下はすべてオフ スキルシステム ランタイムコンテキスト注入 ワークスペースコンテキスト コンテキスト圧縮(未インストール) 通常の bash ツール バックグラウンドタスクツール この設定で Terminal Bench 2.1 を獲得 87.9 全体 3 位、Opus-4.8 の 85.0 を上回る
リポジトリ内の minimal.cordis.yml から 1 行ずつ転載。権限は danger-full-access で、ベンチマーク環境は無防備です。

前のセクションで紹介した 30 個ほどの組み込みツールのうち、ここに残っているのは 2 つだけ。状態を保持できる bash と、文字列置換エディタです。スキルシステムもオフ、ランタイムコンテキスト注入もオフ、ワークスペースコンテキストもオフ、コンテキスト圧縮は未インストール、通常の bash ツールもバックグラウンドタスクツールもオフ。システムプロンプトは、ごく普通の「You are a helpful software engineer assistant.」という 1 文です。

Terminal Bench 2.1 の 87.9 点、DeepSWE の 62.7 点は、この設定で獲得したものです。

これらのスコアは主にモデル自体から来ており、シェル側のプロンプトテクニックが下支えしているわけではありません。そして、この harness には出荷時点ですべての機能が備わっており、どれを有効にするかは利用者が決めます。

データ

V4-Pro が伸びたのは、主に「手を動かす」スコア

スコアが主にモデル由来なら、V4-Pro は今回、具体的に何が伸びたのでしょうか。先に断っておきますが、以下の表は開発者による自己公表です。

DeepSeek 公式ベンチマーク表。V4-Pro-0813 と自社プレビュー版、および GLM-5.2、Kimi-K3、Opus-4.8、Fable 5 との比較
公式ベンチマーク表。下部の注釈が冒頭で述べた一文。公開 Code Agent タスクは DeepSeek Harness(minimal モード)でテスト。出典:@deepseek_ai

自社のプレビュー版と比べて、伸びが大きい項目はすべて「モデル自身が手を動かして 1 つのことをやり遂げる」タイプの問題です。

DeepSWE12.8 → 62.7
12.8
62.7
DSBench-Hard31.1 → 67.2
31.1
67.2
Cybergym52.7 → 83.3
52.7
83.3
AutomationBench12.8 → 31.8
12.8
31.8
Terminal Bench 2.172.1 → 87.9
72.1
87.9
薄色は V4-Pro-Preview、濃色は V4-Pro-0813。バーの長さは各スコアの比率に基づくため、異なるベンチマーク間の横比較はできません。

DeepSWE は 12.8 から 62.7 へ、約 5 倍になりました。以前のプレビュー版は、この種の問題ではほぼ不合格レベルでした。

他社との比較では一長一短です。Terminal Bench 2.1 の 87.9 は Kimi-K3(88.3)と Fable 5(88.0)に次ぐ 3 位で、Opus-4.8 の 85.0 は上回ります。AutomationBench の 31.8 はこの表で最高です。しかし、知識と推論を問う HLE は、ツールなしで 42.7 点。Fable 5 の 53.3 や Opus-4.8 の 49.8 には明らかに及びません。DeepSWE の 62.7 も、Fable 5 の 70.0 や Kimi-K3 の 67.5 にはまだ届いていません。

伸びは「手を動かす」タイプの問題に集中しており、知識・推論系は今回ほぼ変化なしです。

公式ツイートにはあと 2 点あります。V4-Pro と V4-Flash はどちらも推論強度を low、high、max の 3 段階で調整可能。公式推奨は、単純タスクは low、日常的な Agent ワークフローは high、複雑なタスクは max(ベンチマークでも使用)。さらに、OpenAI の Responses API をネイティブサポートし、公式ドキュメントには Codex のワンクリック設定スクリプトが用意されています。1 行実行すると、元の ~/.codex/config.toml をバックアップし、モデルメタデータを書き込み、必要なフィールドのみを変更します。既存の MCP サーバー設定は保持されます。

価格

8 月 17 日より、キャッシュヒット価格は 12 倍に

同じ日、公式は 3 つ目の発表も行いました。北京時間 8 月 17 日 0 時より、API はピーク時とオフピーク時の 2 段階料金になります。ピーク時間帯は 9:00–12:00 と 14:00–18:00。1 日合計 7 時間で、残りの 17 時間はオフピークです。オフピーク価格はちょうどピーク時の半分です。

0 時 9–12 14–18 24 時 濃色 7 時間 = ピーク価格 薄色 17 時間 = ピーク価格の半分
北京時間。当サイトが公式発表に基づき作成。

deepseek-v4-pro で計算すると、現在の出力は 6 元 / 100 万トークン。新価格はオフピーク 13.5 元、ピーク 27 元で、ピーク時は現在の 4.5 倍です。入力(キャッシュミス)は現在 3 元から、新価格は 4.5 元と 9 元になります。

最も大きく上がるのはキャッシュヒット時の入力価格です。

元 / 100 万トークン現行新価格 · オフピーク新価格 · ピーク
pro 入力(キャッシュヒット)0.0250.15(6 倍)0.30(12 倍)
pro 入力(キャッシュミス)34.5(1.5 倍)9(3 倍)
pro 出力613.5(2.25 倍)27(4.5 倍)
flash 入力(キャッシュヒット)0.020.05(2.5 倍)0.10(5 倍)
flash 入力(キャッシュミス)11.5(1.5 倍)3(3 倍)
flash 出力24.5(2.25 倍)9(4.5 倍)

倍率は当サイトが公式の新旧料金表から算出。料金そのものは DeepSeek API 料金ページから。

なぜキャッシュヒット枠が重要なのでしょうか。Agent の働き方はラウンドを重ねる方式で、各ラウンドで過去の会話と読んだファイルをすべてモデルに送り直します。この部分の大半がキャッシュにヒットします。最も上がった枠が、まさに長時間 Agent を動かすときに最も使用量が大きい枠なのです。

たとえるなら

キャッシュヒットは、毎日同じ道を通る常連客への割引のようなものです。常連価格が 12 倍になれば、たまに通る人はあまり感じませんが、毎日走る人は真っ先に影響を受けます。

同時接続数の制限は、deepseek-v4-pro が 500、deepseek-v4-flash が 2500 です。公式から値上げの理由は発表されていません。

品質

218 個のパッケージは、自らの欠点を明記しなければならない

では、今すぐ使い始められるのでしょうか。

219
ワークスペース内のパッケージ数
1.7 万
公開当日のスター数。6 時間でこの数に到達(2026-08-13 22:02 北京時間時点)
rc.6
npm 上の最新版。8 月 13 日の 1 日で 3 版をリリース

インストールは可能です。npm では 8 月 10 日に最初の候補版が公開され、13 日に 1 日で 3 版がリリースされ、最新は 0.1.0-rc.6 です。リポジトリは当日 19:56 に作成され、22:02 の時点で 1.7 万スター、1182 フォークに達しています。API キーを入力し、ワークスペースディレクトリを選べば、すぐに使い始められます。

dsh の Web UI 設定画面。DeepSeek API キーを入力するフォーム
Web UI の設定画面。キーを入力すると即座に有効になり、再起動は不要。他のプロバイダやカスタムの OpenAI 互換エンドポイントも追加可能。出典:リポジトリ docs/user/guide/

しかし、README の最初の行は警告です。開発者プレビュー段階であり、急速に反復開発中。将来、破壊的変更が発生します。内部仕様書はもっと率直で、外部ユーザーがいないため、互換レイヤーよりも正しい基盤を優先する、とあります。セッションファイルの形式バージョンは 0 のままで、互換性は一切保証されません。

これを縛っているのは CI ゲートです。219 個のパッケージのうち、218 個の README には「既知の制限と先送りした作業」セクションが必須で、書いていないと CI が通りません。唯一の例外は純粋な型定義のみのパッケージで、その例外リストには、なぜ制限を書くことがないのかを明記しなければなりません。

いくつか見てみましょう。

ACP 自動化インターフェースは新規セッションの開始のみ対応。読み込み、一覧表示、復元、削除、フォークはすべて非対応です。
添付オブジェクトは無期限に保持。参照ベースのガベージコレクションは未実装です。
設定パッチは行単位の置き換え。ディープマージ層がないため、上書き時は行全体を書き直す必要があります。
Web 版 CLI は意図的に --host 0.0.0.0 をサポートしません。サービスを全ネットワークインターフェースにバインドさせないためです。
はじめに

試すために必要なもの、実行すること

使うだけなら:Node.js(22.19+ または 24+)をインストールし、npx @deepseek-ai/dsh web を実行。ブラウザで表示されたアドレスを開き、設定で DeepSeek API キーを入力して保存(再起動不要)。次に「ワークスペースを選択」でプロジェクトディレクトリを追加して選択します。選択するまで入力ボックスは使用できません。承認が必要な操作は、UI が先に確認します。

改造するなら:Node に加えて、Corepack で有効化した pnpm(リポジトリは 11.7.0 に固定)と Git 2.26 以上が必要です。クローンして pnpm install を実行し、pnpm run typecheck を一度通せば環境構築完了です。インストール時に Git hooks も導入されます。コミット前には自動でコードチェックと一部自動修正、プッシュ前には自動で型チェックが実行されます。

コード内の TODO マークは 3 段階で、見つけたら次のように解釈してください。FIXME はリリースブロッカーで、正式版前に解決必須。TODO は時間があるときにやるべき。XXX は思いついたらで、約束はしません。

🧰 スタートアップカード · DeepSeek Harness(dsh)
価格オープンソース・無料(MIT)、モデル API は別途
手順Node 22.19+ または 24+ をインストールし、npx @deepseek-ai/dsh web を実行。設定で DeepSeek API キーを入力
出典
DeepSeek HarnessDeepSeek AI·GitHub リポジトリ·2026-08-13
当サイトからの注記
README.zh.md 自体は 75 行のみ。アーキテクチャ、ツール一覧、ベンチマーク設定、各パッケージの制限は、リポジトリをクローンした後のソースコードとドキュメント(HEAD 47f9438)に基づきます。ベンチマーク表は公式の原図、棒グラフと値上げ倍率は当サイトが公式データから算出・作成、その他の模式図は当サイトによる作図。スター数と npm バージョンは 2026-08-13 22:02(北京時間)時点の値、表紙は GitHub が自動生成したリポジトリカードです。