Lightricks が動画モデル LTX-2.5 をオープンソース化:音声・映像を一体生成、10 秒動画を 6.8 秒で
- Lightricks が動画生成モデル LTX-2.5 を発表・オープンソース化。10 秒の動画生成について、公式計測では 6.8 秒。同じ比較表では Veo 3.1 が 70 秒でした。
- 多くの動画モデルとの根本的な違い:映像と音声を同じモデル内で一緒に生成します。別途用意する必要がありません。
- ただし「オープンソース」には条件付き。ダウンロード前に、見落としがちな関門がもうひとつあります。
Lightricks が LTX-2.5 をオープンソース化、ウェイトは当日から入手可能
イスラエルの企業 Lightricks が手がける LTX チームは、動画生成モデル LTX-2.5 を発表しました。同日中にウェイトを Hugging Face へ公開し、ComfyUI も初日からネイティブ対応。API も利用できます。モデルの総パラメータ数は 220 億。テキスト・画像・動画の 3 種類の入力に対応し、出力は映像と音声が一体化した作品です。
できること——8 つの機能
8 つの機能区分ごとにデモが用意されており、これらがおおむね 2.5 の機能リストです。
前世代からの進化点
今世代は、旧コアに機能を足したのではなく、ほぼ全段階を作り直しています。具体的には次の 6 点です。
Diffusion Fidelity Rendering を採用。先に構造を作り、後からディテールを補完します。今回の画質向上の主因です。詳しくは後述します。
高い圧縮率を保ちつつ、高速な動きのある場面での映像破綻を軽減。顔などのディテールが潰れにくくなりました。
一連のシーケンスをひとつの出力として生成。カメラが変わっても、人物・シーン・音声の一貫性を保ちます。バラバラに生成して後で繋ぐ方式ではありません。
カスタム版の Gemma 4(ウェイトでは 120 億パラメータ版)でプロンプトを処理し、専用のプロンプト増強器も併用します。
同じ品質でありながら、より高速・省リソース。サンプリングステップは 8 ステップ固定で、自前のハードウェアで動かすための鍵となります。
RTXシリーズとDGX Spark向けに VRAM 使用量を削減。ウェイトには NVFP4 と int8 の 2 つの量子化バージョンが最初から含まれます。
10 秒動画を 6.8 秒で生成——ただしテスト条件の確認が必要
速度ランキングは画像から動画を生成する際の、10 秒動画の生成時間です。
数字とあわせて確認したい点が 3 つあります。
1 点目:6.8 秒は、彼ら自身の GB200 を 2 枚使った環境での数値です。GB200 は NVIDIA の最新データセンター向け GPU で、1 枚で車が買えるほどの価格です。この結果はモデル自体の効率の高さを示しますが、「あなたの GPU ならどれくらい速いか」は別の問題。公式も後者については数値を出していません。
2 点目:2 つの LTX の解像度が異なります。ローカル環境は 720p、API 経由は 1080p です。API の 23.7 秒は、サードパーティ製プラットフォームの fal.run でのエンドツーエンド計測で、待ち時間も含まれています。
3 点目:競合他社の条件もさまざまです。多くは 720p、MiniMax H3は768p、Kling 3.0 Pro は約 1080p。Veo 3.1 は 10 秒ではなく 8 秒の動画で計測されています。
映像と音声は一緒に生成される
多くの動画モデルは映像のみを扱い、音声はないか、別のモデルを組み合わせます。LTX シリーズは前世代から違う道を歩んでいます。音と映像を同じモデル内で同時に生成するのです。同社はこれを「ビデオ・オーディオ・ワールドシミュレーション」と位置づけています。
このアーキテクチャは 3 層構造です。
つまり、出力されるのはセリフや吹き替えだけでなく、キャラクターや環境、スタイル、感情に追従する完全なオーディオトラック——環境音や効果音も含めて——です。他のモデルは無声映画を撮ってから声を当てる方式。LTX-2.5 は、撮影中からマイクのスイッチが入っている、と言えます。
2.5 のウェイト構成はこの設計に対応しています。ビデオ用の VAE に加えて、独立したオーディオ用 VAE を搭載。機能タグにも「テキスト読み上げ」「ビデオ読み上げ」「オーディオ読み上げ」などの組み合わせが記載されています。ウェイトファイル名に 22b とあり、今世代の総パラメータ数が 220 億であることを示します。前世代は 140 億+50 億。増加分がどちら側に配分されたかは非公開です。
新しいレンダリング方式:先に構造、後からディテール
今回の画質向上の主因が Diffusion Fidelity Rendering です。これは動画生成の長年の課題を解決しようとするものです。高速化のため、モデルは元のピクセルで直接作業するのではなく、動画を大幅に圧縮してから生成します。圧縮が強いほど計算は速くなりますが、解凍するとディテールがぼやけます。最もぼやけやすいのが顔です。
LTX-2.5 の解決策は、「構造」と「ディテール」を 2 つの段階に分けることです。
画質ランキング 1 位——比べているのは「破綻の少なさ」
もうひとつのランキングは、テキストから動画を生成した際の、動画ごとの目に見える欠陥数を測定したものです(少ないほど良い)。LTX 2.5 Pro が 0.28、LTX 2.5 Fast が 0.39、Flux 3 が 0.45、MiniMax が 0.46、Wan 2.6 が 0.65、Seedance 2.5 が 0.69、LTX 2.3 Pro が 0.74、Kling 3 Pro が 0.76、Veo 3.1 が 1.20 でした。
10 モデル中、LTX 2.5 Pro が 1 位です。この「1 位」の意味を正確に理解するためには、何を測定したのかを確認する必要があります。
ブロック状のノイズ、壊れたテクスチャ、ぼやけたり塗りつぶされた領域。つまり「一目で AI の失敗とわかる部分」です。
見た目の良し悪し、動きの物理的な正確さ、プロンプトへの忠実度、音声の同期。これらはこのスコアには入っていません。
さらに、3 つの測定条件も明確にしておきます。98 個の同一プロンプトを 10 モデルで実行。評価は人間ではなく機械が実施。ランキングは「暫定結果」とされており、評価の拡大に伴い変動する可能性があります。また、Seedance 2.0 の 0.60 はグラフに描き込まれていません。
「オープンソース」の 3 つの関門:売上高の壁、微調整モデルの譲渡、ダウンロード時のメールアドレス
同社はこれをオープンウェイトと位置づけています。発表のツイートには、こうあります。「これはレンタルするツールではない。君たちが何かを築くための土台だ。オープンで、君たちのものだ。」
実際の規約は 3 層構造です。
LTX-2.x コミュニティライセンスを採用。年間売上高が 1,000 万ドル未満の組織は、商用・本番利用ともに無料です。この金額を超える場合は、有料の商用契約が必要になります。その契約には、完全なウェイト、エンジニアリングサポート、LoRA、柔軟なデプロイオプションが含まれます。
自分で微調整したモデルを第三者に譲渡する場合、別途有料ライセンスが必要になる可能性があります。自分で使うのと、成果を他者に渡すのとでは条件が異なります。
Hugging Face 上のウェイトはアクセス制限付きです。ダウンロードには、ログインし、連絡先の共有に同意する必要があります。同意ボタンを押すことは、プライバシーポリシーへの同意を意味し、ターゲット広告を含むプロモーション配信への同意も含まれます(いつでも購読解除可能)。ウェイトは匿名ではダウンロードできません。
これらの条件は厳しいものではなく、多くのオープンソースモデルが同様の取り組みをしています。日本語の「オープンソース」という言葉は「自由に使える」と受け取られることが多いですが、この 3つの関門のいずれもが、採用の判断に影響を与え得ます。
ロボット分野について、公式の見解は「開発途上」
今回の発表では、ロボットと物理 AI が大きくフィーチャーされています。映画、ロボット、リアルタイムワークフローが、LTX モデルがすでに本番投入されている3つの分野として列挙されています。ロボット企業 Markov Robotics の CEO も「このオープンソースモデルに匹敵するものは他になかった」と推薦の言葉を寄せています。さらに、物理AI向けに調整された事前学習チェックポイントも別途公開されています。
一方、開発者向けの説明書では、同じ事柄についてより慎重な表現が使われています。
既存の用途は、テキスト・画像・動画の入力から、同期した高忠実度の映像・音声を生成することです。ロボットや物理 AI といった新興分野での適合性は、まだ開発途上にあります。
LTX-2.5 モデルカード · Hugging Face
同じ企業による 2 つの声明です。ロボットへの利用を検討しているチームは、後者の見解に基づいて評価するのが安全でしょう。
始め方:3 つの方法、分割されたコンポーネント、16GB から
自分で動かすには 3 つの方法があります。ltx-pipelines(LTX 公式の PyTorch パイプライン)、ComfyUI(公開初日から公式ワークフローテンプレートあり)、そして Diffusers です。
ウェイトは 1 つの大きなファイルではなく、コンポーネントごとに分割して提供されます。拡散メインネットワーク、Gemma 4 テキストエンコーダー、ビデオVAE、オーディオVAE、尺を制御するモジュール、空間・時間アップサンプラー、そしてLoRAです。セットアップ時には、各コンポーネントのパスを個別に指定する必要があります。
ハードウェア要件は、最小 VRAM 16GB、任意の GPU で動作可能、ローカル/エッジ/API の 3 つのデプロイ方法に対応。VRAM が不足する場合は、メインネットワークの動的精度低下と CPU オフロードを使用します。この 16GB が、どの量子化バージョン、どの解像度、どの長さの動画に対応するものなのかは明記されていません。
量子化バージョンは 3 種類。ComfyUI 専用の int8、Blackwell アーキテクチャ向けの NVFP4、そして実行時の fp8 精度低下です。ComfyUI 専用の 2 つのファイルは PyTorch パイプラインでは使用できません。この点はモデルカードに明記されています。
公開から 1 日で、Hugging Face 上にはコミュニティによる 2 つのアダプター、4 つの微調整モデル、7 つの量子化バージョンがアップロードされました。LTXシリーズの累計ダウンロード数は3,300万回を超えています(公式数値。シリーズ全体であり、2.5 単体ではありません)。
Lightricks が LTX-2.5 をオープンソース化:映像と音声を同じモデルで一括生成
Lightricks は動画生成を 10 秒動画 6.8 秒まで高速化し、さらに音声と映像を同時生成します。どう実現したのか、そして「オープンソース」の実態を、図解付きで 1 ページにまとめました。
↓ 1 ページで完了 · 動く図あり
Lightricks の LTX チームが動画生成モデル LTX-2.5 を発表。ウェイトは当日に Hugging Face で公開され、ComfyUI も初日からネイティブ対応しました。多くの動画モデルは映像のみを扱い、音声は別途用意します。LTX-2.5 はこの 2 つを同じモデル内で同時に生成します。
- 新レンダリング方式がディテールを向上。顔などの破綻しやすい部分がより明瞭に
- マルチショット全体を 1 回で生成。カメラが変わっても人物とシーンの一貫性を維持
- NVIDIA と共同でローカル最適化。ウェイトに 2 種類の量子化バージョンを同梱
速度ランキングは、10 秒動画の生成時間を測定したものです。LTX公式の自己評価によると、LTX-2.5 は自社の GB200(NVIDIA 最新データセンター GPU)2 枚構成で 6.8 秒。同じ表では Veo 3.1 が 70 秒、Kling 3.0 Pro が 398 秒でした。
2×GB200 · 720p
1080p · 待機時間込み
720p · 8 秒で計測
約 1080p
このシリーズは前世代から独自のアプローチを取っています。ビデオストリームとオーディオストリームを並列実行し、交差注意(2 つのストリームが相互に参照し合う仕組み)で常に連携。2 つのストリームは同じ時間リズムで生成されます。出力されるのはセリフだけでなく、足音、環境音、感情に合った背景音まで含む完全な音声トラックです。
Lightricks はこれを「何かを築くための土台」と表現しています。ウェイトは確かに当日から入手可能ですが、商用利用の条件はライセンスに明記されており、3 層構造です。
プレスリリースではロボットが大きく取り上げられています。映画、ロボット、リアルタイムワークフローが、すでに本番投入されている 3 分野として列挙され、ロボット企業 Markov Robotics の CEO も推薦の言葉を寄せています。
ダウンロードして実行可能
同時生成!
生成時間は
Kling 398 秒
こういう条件
データセンター向け最上位 GPU
音声はどうやって?
口の動きと合わせるの?
後から声を当てる
マイクのスイッチが入ってる!
1,000 万ドル未満なら
商用無料
連絡先の共有が必要
もう使われてる!
適合性が「開発途上」
代償は 1,000 万ドルの売上高の壁と、
メールアドレス 1 つ
