ツール解説・小互がよみとく

RLM(再帰言語モデル):ツールを呼ぶのではなく、モデルが自分でコードを書いて自分を呼び出す

6分半の公式デモ。仕組み、俳句トーナメント、そして「使う価値があるのはどんな時か」を示す実測データを紹介します
1分でわかる
  • RLM とは、モデルが「自分自身を呼び出す」能力を持つこと。メインのエージェントがコードを書いてサブエージェントを生み出し、コンテキストをモデルのウィンドウから変数やファイルへ移します。
  • 公式の実測によると、64k コンテキストでは有無の差はわずか。差が顕著になるのは 128k からです。
  • 代償も明記されています。レイテンシは高く、トークンも高コスト。その分、正確性と確実性が得られます。
⚑ 本文は、LangChain が公開した公式テック解説ビデオを元に解説しています。仕組みの説明と実測データはすべてこのビデオに基づきます。引用元を明記した補足情報は、ビデオ外の公開資料を参照しています。
01

RLM(再帰言語モデル)とは

平たく言えば、RLM は AI モデルに「自分自身を呼び出す」能力を持たせる仕組みです。

この定義だけだと聞き流してしまいがちなので、従来のやり方と並べてみると違いが明確になります。

従来のやり方

エージェントに超長いファイルを与えると、その中身をすべて一度に、限られたメモリ(コンテキストウィンドウ)へ詰め込んで分析しなければなりません。

結果として、前の方を覚えていると後ろを忘れたり、要約する段階で大量の詳細が失われたりします。

RLM のやり方

モデルのオーケストレーションのロジックはコードで書かれます。メインのエージェントが指揮官となり、コードを書いて複数のサブエージェントを生み出し、役割分担させます。これが divide and conquer です。

コンテキストや中間データの大半は変数やローカルファイルに置かれ、コンテキストウィンドウに無理やり詰め込むことはありません。

具体的な違いはこうです。モデルが「本を丸ごと暗記してから答える」必要はなく、「処理の流れを書いておいて、必要なページだけをめくる」ようになります。

TRADITIONAL コンテキストウィンドウ 飽和状態 · 要約で場所を確保 要約で情報が失われる RLM メインエージェント コードを書く 自分を呼び出す 変数 ファイル 変数 サブエージェント サブエージェント サブエージェント 分担処理 · 結果を回収
同じデータでも、一方は全てウィンドウに詰め込み、もう一方は変数とファイルに分けて必要な時に取り出す。本サイトが動画内容を基に作成した図。

動画では触れられていない背景:RLM という概念自体は LangChain が提唱したものではありません。Alex Zhang 氏が2025年10月に書いたブログが発端で、後に正式な論文(arXiv:2512.24601)が出ています。LangChain はこのパラダイムを自社の Agent フレームワークに組み込み、すぐ使えるようにしたという位置づけです。

この記事で解説するのは、LangChain のオープンソースエンジニア Sydney Runkle 氏による、6分36秒の公式テック解説ビデオです。テーマは Deep Agents で RLM を使う方法です。

LangChain 公式デモ全編(6分36秒)。本サイトにて日中バイリンガル字幕を収録。以下、この動画の内容を解説します。