DeepSeek-V4-Flash 正式版リリース:Codex にネイティブ接続可能、自社の大型モデル V4-Pro を上回る性能、出力価格は Opus 4.8 の 89 分の 1
- Agent テスト全 9 項目で自社の大型モデル V4-Pro を逆転。最も差がついた項目は 4 倍差。ただし、誰の測定かは確認が必要です。
- 出力 100 万トークンあたり 0.28 ドル。Claude Opus 4.8 は 25 ドル。この価格表の末尾には小さな但し書きも。
- コマンド 1 つで、Codex の背後にあるモデルを切替可能。既存の設定変更は一切不要。
API が正式版に。呼び出し方は 1 文字も変えずに移行可能
DeepSeek の V4-Flash が正式版になりました。7 月 31 日から公開ベータを開始し、バージョン番号は 0731 です。
今回の最も実用的なポイントは、Codex に直接接続できるようになったことです。コマンド 1 つで、Codex の背後にあるモデルが DeepSeek に切り替わります。既存の設定は何も触る必要がありません。
次に価格です。出力 100 万トークンあたり 0.28 ドル。同じ量を Claude Opus 4.8 で処理すると 25 ドルかかります。
3 つ目はモデル重みのオープンソース化です。MIT ライセンスで公開され、誰でも self-host できます。
すでに DeepSeek API を利用している人はコード変更は不要です。エンドポイントは同じ、model には引き続き deepseek-v4-flash を指定すれば、新しいバージョンが使われます。
ここで線引きしておきたいのは、今回変更されたのは V4-Flash のみだということです。V4-Pro の API は変わらず、DeepSeek App と Web 版で動くモデルも変わりません。V4-Pro の正式版は、公式発表で「近日公開」とされています。
Agent テスト全 9 項目、すべて自社の大型モデル V4-Pro を逆転
では、前バージョンと比べてどれだけ強くなったのでしょうか。DeepSeek はリリースに合わせて、Agent 寄りのテスト全 9 項目の比較表を公開しました。
全 9 項目で V4-Pro プレビュー版を上回りました:DeepSWE 54.4 対 12.8、DSBench-Hard 59.6 対 31.1、Cybergym 76.7 対 52.7。最も差が小さかった Agents' Last Exam でも 8.7 ポイント差です。V4-Pro は総パラメータ 1.6 兆の大型モデルで、Flash は 2840 億です。
同じ表では全 9 項目で Claude Opus 4.8 を下回っていますが、そのうち半分は発表資料では触れられていません。最も差が小さいのは Agents' Last Exam(0.5 ポイント)と Terminal Bench(2.3 ポイント)、最も大きいのは NL2Repo(15.5 ポイント)と DSBench-Hard(12.1 ポイント)です。
伸び幅が最も大きいのは DeepSWE で、7.3 から 54.4 へ上昇しました。
同じベンチマークを第三者機関が測定すると、Opus は変わらず、DeepSeek は 3.7 低い結果に
上の表は DeepSeek 自身が発表したものです。第三者評価機関の Artificial Analysis が同日、独自のフレームワークで同じ測定を行ったところ、1 か所食い違いがありました。
Terminal-Bench の項目では、Claude Opus 4.8 は両者とも 85。一方、V4-Flash 0731 は、DeepSeek 自己申告が 82.7、第三者測定が 79 でした。公式の脚注には、この 9 項目のうち Code Agent タスクは DeepSeek 独自の未公開ハーネス(harness)を使用していると明記されています。外部からは入手・再現ができません。Agent 系テストのスコアはこのハーネスに大きく依存します。本站内に例がありますが、ハーネスだけを交換してモデルを変えずに、ARC-AGI-3 のスコアを 99% まで押し上げたケースがあります。
本站関連記事ハーネスを 1 つ変えるだけで Opus 4.8 と Fable 5 が ARC-AGI-3 で 99% を達成
第三者による他のデータも、今回のアップグレードの大きさを裏付けています(ちなみに、同じランキングで GLM-5.2 は 51 ポイントで、Flash 0731 より 1 ポイント高い。公式表の「全 8 項目で GLM に勝利」という主張とは異なる結果です):
規模はこのクラスで最小です。1 トークン処理に実際に動くパラメータ数は、V4-Flash は GLM-5.2 の 3 分の 1 未満、Kimi K3 の 8 分の 1 です。
Kimi K3 テクニカルレポート:総パラメータ 2.8 兆、3 つのアーキテクチャ変更で計算効率を 2.5 倍に
入力は Claude Opus 4.8 の 35 分の 1、出力は 89 分の 1
性能を把握できたので、次は価格です。以下は公式価格ページの 3 段階の料金で、単位は 100 万トークンあたり。Claude Opus 4.8 の列は Anthropic 公式価格からの引用で、比較用に掲載しています。
| 100 万トークンあたり | V4-Flash | V4-Pro | Claude Opus 4.8 |
|---|---|---|---|
| 入力(キャッシュミス) | $0.14 | $0.435 | $5.00 |
| 入力(キャッシュヒット) | $0.0028 | $0.003625 | — |
| 出力 | $0.28 | $0.87 | $25.00 |
| 同時実行上限 | 2500 | 500 | — |
入力は 100 万トークンあたり 35 倍、出力は 89 倍の差です。自社の V4-Pro と比べると、Flash の入出力はどちらも Pro の 3 分の 1 未満で、同時にさばけるリクエスト数は Pro の 5 倍です。
見落としがちな 3 つのプラスポイント
価格は上がっていません。0731 の価格は 4 月のプレビュー版と完全に同じ。性能は大きく向上したのに、価格表はそのままです。
キャッシュヒットは 98% オフ。同じプロンプトの始まり部分を再送信すると、前回の計算結果を再利用できます。この場合の料金は $0.0028 で、ミス時の 50 分の 1。割引率は 98% です。第三者評価機関の Artificial Analysis が特に注目した点です:業界の多くのモデルが提供するキャッシュ割引は 90%。DeepSeek は 98% で、これがタスクごとのコストをここまで抑えられる主要因の 1 つです。同じコードベースに繰り返し質問するシーン、つまり Codex の通常の使い方では、ヒット率は自然と高くなります。
出力トークンも減少。Artificial Analysis が独自の評価セットを実行したところ、0731 は約 2.06 億出力トークンを使用。前世代は約 2.34 億でした。12% 少ないトークンで、より高いスコアを獲得しています。これは表示価格とは別の節約効果です。
Codex 向け最適化、システムプロンプトまで同梱
価格と性能は説明したので、冒頭で触れた最も実用的なポイントである Codex 接続に戻ります。Codex は Responses API を通じてモデルと通信します。DeepSeek は今回、この形式をネイティブサポートしました。これが接続の前提です。しかし、「インターフェースが通るだけ」の対応なら、Codex 内の DeepSeek は機能制限されたモデルになります。自身のコンテキストサイズを知らず、コードパッチの提出方法も分からず、Codex 内蔵モデルが持つ行動規範も得られません。
実際の対応は、これよりもはるかに徹底しています。セットアッププロセスで ~/.codex/models.json が書き込まれます。これは本質的に Codex 向けのモデル説明書であり、DeepSeek モデルを Codex 内蔵モデルと同じ形式で完全に宣言します。
3 層目が今回の対応で最も注目すべき点です。その models.json には、Codex 自身の公式システムプロンプトがそのまま収録されています。"You are Codex" という書き出しから、スキルファイルの読み込み方、削除系コマンドへの対処法まで、一連のルールが全て入っています。
接続後、モデルは DeepSeek ですが、「自分は誰か、どう働くべきか、何をしてはいけないか」という行動規範は、Codex 純正のものが使われます。いわゆる Codex 向け最適化は、モデルとこのハーネス一式との連携を最適化するものであり、単に両端のインターフェースが通信できるようにするだけではありません。
接続チュートリアル:コマンド 1 つで設定完了、既存設定はそのまま
始める前に 2 つ確認してください:Codex CLI または ChatGPT デスクトップアプリを一度は起動していること(これで ~/.codex ディレクトリが存在します)、そしてクライアントバージョンが 0.144.0 以上であること。
方法 1:公式スクリプト、コマンド 1 つ
bash <(curl -fsSL https://cdn.deepseek.com/api-docs/codex-deepseek-setup-en.sh)
irm https://cdn.deepseek.com/api-docs/codex-deepseek-setup-en.ps1 | iexスクリプトを実行すると、モデルをメニューから選びます。初回実行時には API Key(sk- で始まるもの、DeepSeek プラットフォームで取得)の入力が必要です。スクリプトが行う 4 つの処理は、いずれも堅実です:
- 既存の
~/.codex/config.tomlを~/.codex/backup-deepseek/にバックアップ。いつでも元に戻せます。 - モデルカタログ
~/.codex/models.jsonを書き込み。前の節で説明した説明書です。 config.tomlを変更:必要なフィールドのみ書き換え、[model_providers.deepseek]セクションを追記。既存の MCP サーバーやプロジェクト信頼レベルなどの設定は全て保持。新設定と衝突するフィールドがあれば削除し、削除理由を 1 行ずつ表示します。- 書き込み前に 2 つのファイルの構文を検証。検証に失敗したら即座に中止し、1 つのファイルも変更しません。
その後はいつでもこのスクリプトを再実行してモデルを切り替えるか、メニューの 3 番目の項目でインストール前の状態に戻せます。
方法 2:手動で設定を変更
スクリプトを使いたくない場合、models.json の完全な内容は公式ドキュメントからコピーできます。config.toml には以下のセクションを追加するだけです:
model = "deepseek-v4-flash" model_provider = "deepseek" preferred_auth_method = "apikey" forced_login_method = "api" model_reasoning_effort = "high" model_catalog_json = "~/.codex/models.json" [model_providers.deepseek] name = "deepseek" base_url = "https://api.deepseek.com/" wire_api = "responses" experimental_bearer_token = "<あなたの DeepSeek API Key>"
wire_api = "responses"。これは Codex に対して、Responses API プロトコルでモデルと通信するように指示します。model_reasoning_effort が前の節の 3 段階の推論深度で、low / high / max を指定できます。設定後、反映を確認する方法
3 つの Codex クライアントは同じ設定を読み込むため、1 回設定すれば全てに反映されます:
codex と入力。起動バナーに model: deepseek-v4-flash と表示されれば成功です。現在は対応していない点
deepseek-v4-flash のみ、Responses API も同様です。V4-Pro のサポートは、公式発表で 2026 年 8 月上旬とされています。previous_response_id と conversation はサポートされず、複数ターンの会話は毎回完全な履歴を送信する必要があります。apply_patch という名前のみ認識します(Codex 用)。他の名前を渡すと 400 が返ります。もう 1 つ、設計として注目すべき点があります。サポートされていないパラメータは、エラーにせず全て静かに無視されます。そのため、既存の Responses API クライアントはコードを変更せずにそのまま接続できます。代償として、無視されたパラメータは自分で把握しておく必要があります。
技術的には学習の最終段階のみ変更、モデル本体のパラメータは 1 つも動かず
最後に、今回の性能向上がどこから来たのかを簡単に説明します。公式更新ログの一文が全体を理解する鍵です:0731 はプレビュー版とモデルアーキテクチャ・サイズが完全に同一で、ポストトレーニングのみやり直した、とあります。
ポストトレーニングとは、モデルが大量のテキストを読み終えた後の第 2 段階です。デモンストレーションと報酬を使って、身につけた能力を実際にどう使うかを教えます。本は同じ本、変えたのは教え方です。
1 点だけ正確に述べます:HuggingFace で公開されているオープンソースの重みは 3040 億パラメータで、本体の 2840 億より約 200 億多い。多い部分は投機的デコーディング用のモジュールです。小さなモジュールが先に数トークンを予測し、大モデルがまとめて検証、当たりならそのまま採用します。これは出力速度を上げるだけで、モデルが何ができるか・できないかは変わりません。vLLM でデプロイする際、1 つのパラメータを追加するだけで有効化できます。
ポストトレーニングの詳細について、モデルカードが示す方法は 2 段階式です。まずデモンストレーションデータと強化学習で分野別のエキスパートモデルを育成し、次に統合モデルがこれらのエキスパートが生成した回答を学習して、各分野の能力を 1 つのモデルに統合します。
価格をこれだけ抑えられるのも、モデル構造によるものです。2840 億パラメータのうち、各トークン処理時には 256 のエキスパートから 6 つと、共有の 1 つだけを選択。実際に計算に参加するのは約 130 億。エキスパート部分の重みは FP4 精度で格納し、その他は FP8 を使用。さらに圧縮型アテンション機構を組み合わせ、長文で最も VRAM を消費するキャッシュを大幅に削減します。公式発表によると、100 万トークンのコンテキストで、V4-Pro の 1 トークンあたりの推論計算量は前世代 V3.2 の 27%、キャッシュは 10% です。
1 点注意すべきことがあります:削減されるのは計算量とキャッシュであり、VRAM ではありません。2840 億パラメータの重みは全て VRAM に載せ続ける必要があります。なぜなら、次のトークンがどのエキスパートを呼ぶか分からないからです。
コマンド 1 つで Codex のモデルを入替:DeepSeek-V4-Flash 正式版、出力 89 分の 1
DeepSeek は 7 月 31 日、V4-Flash を正式版として公開ベータ開始。Codex 用 API をネイティブサポート。何が出たか、どれだけ使えるか、いくらか、どう接続するかを、図解で 1 ページにまとめました。
↓ 1 ページで完了 · 動く図あり
DeepSeek は 7 月 31 日、V4-Flash をプレビュー版から正式版(公開ベータ)に移行しました。バージョン番号は 0731。すでに利用している人はコード変更不要、エンドポイントとモデル名はそのままです。変更点は API の追加と重みのオープンソース化。今回変更されるのは V4-Flash のみで、V4-Pro の API と DeepSeek App、Web 版は変わりません。
model = "deepseek-v4-flash"
モデル名をそのまま指定すれば最新版になります。総パラメータ 2840 億、1 トークン処理で起動するのは約 130 億、100 万トークンのコンテキスト。全て 4 月のプレビュー版と同じです。
Responses API(Codex がモデルと通信する API 形式)をネイティブサポートし、Codex 専用の最適化も実施。重みは MIT ライセンスでオープンソース化され、誰でも self-host 可能です。
アーキテクチャとサイズは 4 月のプレビュー版と完全に同一。この版ではポストトレーニングのみをやり直しました。ポストトレーニングとは、モデルが大量のテキストを読み終えた後の第 2 段階で、デモと報酬で実力を引き出す方法を教えます。本は同じ、変えたのは教え方です。その結果、Agent 寄りのテスト 9 項目全てが上昇しました。
上の表は DeepSeek が発表したものです。第三者評価機関の Artificial Analysis が同日、独自フレームワークで測定したところ、Claude Opus 4.8 のスコアは両者で一致しましたが、DeepSeek の列だけ一致しませんでした。
安さの理由は構造にあります。2840 億パラメータのうち、1 トークン処理では 256 のエキスパートから 6 つと共有 1 つだけを起動。実際に計算するのは約 130 億。エキスパートの重みはより省メモリな精度で格納し、圧縮アテンションで長文のキャッシュを大幅削減。価格表にするとこうなります(100 万トークンあたり、およそ 100 万字に相当)。
Codex 接続が今回最も実用的なポイントです。公式スクリプト(完全なコマンドは本編からコピー可能)を実行すると、2 つの設定ファイルが書き込まれます。重要な行は wire_api = "responses"。アダプテーションは models.json の層まで到達しており、これは Codex 向けのモデル説明書です。
✔ 必要なフィールドのみ書き換え、既存の他の設定は全て保持。衝突時は削除し理由を 1 行ずつ表示
✔ 書き込み前に 2 ファイルの構文を検証、失敗時は即中止、ファイルは 1 つも変更しない
✔ 以後、スクリプト再実行でモデル切替、メニューからインストール前の状態に復元可能
✘ サーバーは会話履歴を保持しない。複数ターンは毎回完全な履歴を送信
✘ リクエストがコンテキストウィンドウを超えると直接エラー。前の内容は切り詰めない
✘ 画像はエラーにならず、静かに 1 行のプレースホルダーテキストに置換。何も言わないので最も踏みやすい罠
出力あたり
小互の請求書の単価
Opus 4.8 は $25、
これは $0.28。
プレビュー版 → 0731
異例なほど低く、
DeepSeek は説明なし
DeepSeek 自己測定 85 / 第三者測定 85
DeepSeek 自己測定 82.7 / 第三者測定 79
DeepSeek の列だけ
- × 接続できるのは deepseek-v4-flash のみ
- × 会話履歴は保持されない、都度送信
- × 画像は静かにプレースホルダーへ置換
