Googleがゲーム制作プラットフォーム「Playground」を発表:プログラミング経験ゼロでも自分だけのゲームを作れる

遊び方を言葉で伝えるだけで、ブラウザ上でゲームを生成・試行・調整し、友達にシェア。公式サイトの4本の操作デモと8本のコミュニティ作品から、Playgroundの制作手法を紐解きます。

著者:Google Labs10-09 · 12 分

多くの人がゲームのアイデアを思い描いた経験を持っていますが、これまではそれを形にするために極めて高い技術的な壁を乗り越える必要がありました。複雑なゲームエンジンの習得、1行ずつのコード記述、自作のグラフィック素材や効果音の制作など、プログラミングの経験がない人にとっては、どれほど魅力的なアイデアであっても開発のスタートラインに立つことすら困難でした。

Google Labsが公開した実験的なゲーム制作プラットフォーム「Playground」(アクセス先:playground.google)は、まさにこの現状を変えようとしています。プログラミング経験がまったくなくても、日常会話の言葉だけで自分自身のゲームを作成できるのです。制作の全工程はブラウザ上で完結します。まず遊びたいテーマやルールを自然言語で入力すると、AIが実際にプレイ可能な作品を生成。そこからさらにチャット形式でシーンや操作感を微調整していき、最後は同じプラットフォーム上でそのまま遊んだり共有したりできます。Googleの説明によると、AIは数分程度で動作可能なミニゲームを生成できるとされています。完成したゲームはPCやスマートフォンからワンクリックで即座に遊べるだけでなく、友達にリンクを送ってプレイしてもらうことも可能です。一部ジャンルではマルチプレイヤーモードに対応し、公開されたシングルプレイヤーゲームにはリーダーボードを設置できるほか、作成者が基礎となる全ソースコードを一括ダウンロードすることも認められています。

遊び方を言葉で伝え、AIにゲームを生成させる

Playgroundでのゲーム制作は、チャットツール上でエンジニアのパートナーに要件を伝える感覚に非常に似ています。作成画面に入ると、入力欄には「2D game」「3D game」という次元の選択肢や「Single player」(シングルプレイヤー)のタグが用意されています。作成者は空白の入力欄に直接プロンプトを入力できるほか、プラットフォームがあらかじめ用意したテンプレートのプロンプトから着手したり、「Start with a build Guide」というガイド機能から始めたりすることも可能です。(公式サイトのデモには「画面はシミュレーションです(Screen images simulated)」との注記があります)

公式サイトに掲載されているゼロからの作成デモでは、紫芋ラテ(UBE LATTE)をテーマにしたミニゲームが使われています。プロンプトでは賑やかなカフェの情景やレトロなピクセルアート調の画風を指定するとともに、プレイヤーの操作方法も具体的に記載されています。「矢印キーで小さなコーヒーカップを左右に動かし、落ちてくる角砂糖を受け止める」という内容です。その後、画面は左側にチャット、右側にテストプレイ画面が並ぶ制作スタジオ(Creation Studio)へ切り替わり、カフェの背景、カップ、スコア表示UIが展開されます。初めて制作に挑戦するユーザーにとって、この事例は具体的な足がかりとなります。「何を作りたいか」だけでなく、舞台設定やアートスタイル、プレイヤーの操作方法、そしてどんなアクションを達成すべきかを明確に言語化することがポイントです。

公式サイトの Create デモ:シーン、画風、操作方法、角砂糖をキャッチする目的を言葉で指定し、制作スタジオへ移行。映像は音声なしのため、日本語の画面説明を付けています。

公式プロモーション動画では、日常的で少し遊び心のあるユニークな発想をいくつか取り上げてこの一連の流れを紹介しています。映像はプロンプトの入力と完成したゲーム画面をテンポよく切り替えて見せる構成となっており、生成待ちの全時間は省略されています。

  • 「紫芋ラテの癒やし系ミニゲームで、カップを使って落ちてくる氷を受け止める遊び方にしたい」とふと思い立って入力すると、スコア集計や方向キーを備えた『UBE CAFE』というゲーム画面が表示されます。
  • 続いて「毛糸玉のクラッシュレース(yarn demolition derby)」を提案すると、トラック内で毛糸玉同士が激しくぶつかり合う映像が映し出されます。
  • 戦略ゲームを作りたい場面では、「サンドイッチのタワーディフェンスを作って。オリーブを食べるのが嫌いだから、オリーブを侵入してくる敵にして」と入力するだけで、サンドイッチを守備タワー、オリーブをモンスターに見立てたタワーディフェンスステージが実際に構築されます。

何を作れるのか?公式サイトで紹介されている8作品を見る

プロモーション動画に見られる自由な発想に加え、公式サイトのギャラリーにはクリエイターが構築した8本の作品が展示されています。これらはいずれもシングルプレイヤーゲームとして分類されており、以下にそのゲームプレイ解説と公式展示カバー画像を掲載します。カバー画像からは、それぞれの題材やアートスタイルを確認できます。

  • プラットフォーマー&アーケードシューティング:夢の世界をテーマにしたプラットフォーマー『Snooze Jump』は、雲の間を途切れなく登っていく作品で、気軽に遊べる通常モードとランキング上位を狙うタイムアタックモードを搭載しています。深海を舞台にしたアーケードシューティング『Octo Pop』は、レトロな粗めのドット絵グラフィックを採用し、プレイヤーはタコのOllieを操って発光する深海海溝を縫うように戦い抜きます。さらに、スノーボード大会をテーマに厳格なコンボ倍率タイマーを設けた山岳エクストリームスポーツゲーム『Summit Swoop』もあります。
  • タクティカルバトル&物理落下パズル:戦術シューティング『Polygon Pazer』は、単色ポリゴンの戦車とMode-7スタイルのレトロな疑似3D地上視点を採用し、ターン制の3v3チームデスマッチを展開します。公式サイトでは本作品をシングルプレイヤーゲームとして分類しており、3v3とは作品内の部隊規模を指しています。落下型の物理スタッキングゲーム『Pitfalls』は摩天楼を舞台にし、物理演算に基づくオブジェクトの積み重ねを中心としたルールになっています。
  • クイズ・単語パズル・カジュアルスポーツ:『Truth Ninja』は素早い反射神経を求めるアクションとクイズを融合させた作品で、「真理の神殿」を守りながらテンポよく回答していきます。『Word Cube』は単語パズルを3次元空間に落とし込んだ立体的な3Dスペリングチャレンジです。スポーツ系作品の『Foosball Shootout』は、おなじみのテーブルサッカーを手軽で爽快なシュートゲームに仕上げています。

日常の写真をゲームアセットに変える

ゲーム制作において最も手間と時間を取られがちな要素の一つがアートアセットです。Playgroundでは、ユーザー自身の手元にある参考写真(現在はPNGおよびJPG形式に対応、動画は非対応)を直接アップロードして、ゲームのビジュアルスタイルの方向性を指示できます。

アップロードした写真がそのままゲーム内に貼り付けられるわけではありません。AIがゲームの画風に合わせた素材へと変換し、テーマや背景、キャラクター造形のガイドとして活用します。(アップロードするコンテンツはプラットフォームのコンテンツ安全基準を遵守する必要があります)

デモ動画の中では、作成者が自宅で飼っている愛猫のチャーリー(Charlie)をゲームに登場させようと、「うちの猫をゲームに入れてもらえる?」と問いかけます。すると猫と毛糸玉のアリーナシーンが立ち上がり、スマートフォン上で実際に操作する様子へと展開していきます。

公式プロモーション映像に登場する猫と毛糸玉のバトルシーン
公式プロモーション映像のキャプチャ:身近なペットをゲームのアイデアに取り入れる例。映像は公式プロモーション用デモであり、本稿での実測生成結果ではありません。

プレイした後は、チャットでルールやシーンを修正する

最初のバージョンが手に入った後もすぐに試遊してブラッシュアップできます。Playgroundは対話を重ねながら微調整していく仕組みを備えています。ゲームライブラリ(Your Games)の鉛筆型編集アイコンをクリックすると、制作スタジオ(Creation Studio)へ移行します。

制作スタジオでは、複雑なパラメータ設定画面やスクリプトコードと向き合う必要はありません。入力欄に日常の言葉で修正したいルールを直接入力するだけです。公式サイトの修正デモではプラットフォーマーゲームを使ってこの工程を紹介しています。作成者がチャット欄で「2段ジャンプを追加して、より高い枕の足場に届くようにして」と指示すると、画面はゲームに戻り、2段ジャンプを用いたプレイを続けて確認します。こうした修正はプレイヤーが取れるアクションそのものを変更するものであり、作成者が望む挙動を指示し、実際に触って感触を確かめながら作り込んでいきます。

公式サイトの編集デモ:チャットで2段ジャンプの追加を指示し、すぐにゲームへ戻ってテストプレイ。映像は音声なしのため、日本語の画面説明を付けています。

ヘルプセンターでは、「ゲームを調整する際は、1回につき明確で焦点を絞った要望を1点ずつ提示すること」を推奨しています。たとえば、まずジャンプの高さを調整して納得がいってから敵の出現頻度を変更するといった進め方です。ひとつの長いプロンプトの中に複数の複雑な修正を一度に盛り込むことは避けるのが賢明です。

なお、ゲームの編集作業は完全に独立した「プライベートな下書き(Draft)」の環境下で行われます。そのゲームがすでに公開済みであったとしても、裏側で新バージョンを調整している間、既存の旧バージョンを遊んでいるオンライン上の他のプレイヤーには何の影響も及びません。納得がいくまで調整を終え、改めて公開ボタンを押した時点で初めて更新が反映されます。

友達とシェアして遊ぶ:マルチプレイヤーとランキングにはそれぞれ条件がある

公式サイトの Play デモ:作品一覧からゲームを選び、ブラウザ上でプレイしてランキングを確認。映像は音声なしのため、日本語の画面説明を付けています。

Playgroundはゲームを単なる1人用の体験にとどめず、ソーシャル性や気軽な対戦を楽しめる一連の機能を組み込んでいます。

  1. マルチプレイヤー通信対応:初回のゲーム生成を行う前に、チャット入力欄にある「Multiplayer」(マルチプレイヤーモード)のタグにチェックを入れることで、プラットフォーム側でマルチプレイヤー向けのゲームプレイを生成できます(現在はアーリープレビュー段階です)。交互に手を打つターン制の対戦から、瞬発力を競い合うリアルタイム対戦まで対応します。
  2. デバイスを問わない即時プレイ:ゲームはウェブブラウザ上で動作し、多くの作品がスマートフォン、タブレット、PCの各画面サイズに対応可能です(実際の表示適応度は作成された作品の内容に依存します)。PCの画面でお気に入りのゲームを見つけた場合、ページ上のQRコード読み取りやSMSリンク送信機能を使ってスマートフォンでスムーズに開き直すことができます。ボタンの押しやすさやタッチ操作の感触については、実機での確認が必要です。
  3. グローバルランキングと最大100人のクローズドグループランキング:プラットフォームはGoogle Play Gamesのプロフィール機能と深く連携しており、プレイヤー独自のニックネームやアバターを設定できます。ランキングの仕組みは明確に区分されています。
    • グローバルランキング(Global Leaderboards):一般公開されたシングルプレイヤーゲームのみを対象とし、世界中のトッププレイヤーのスコアを表示します。
    • グループランキング(Group Leaderboards):親しいコミュニティ向けに設計された機能で、こちらも公開シングルプレイヤーゲームを対象とします。プライベートなグループランキングを作成し、専用の招待リンクを発行して友人、家族、ゲーム仲間へ送信できます(1グループあたり最大100人まで)。自身のアカウント全体を非公開に設定している場合でも、招待を承認した上でニックネームとスコアがグループメンバーに公開されることに同意すれば、グループ内のランキングに参加できます。
  4. お気に入りのクリエイターをフォロー:プレイヤーは優れたインディー制作者をフォローでき、そのクリエイターが新たに公開した作品は、ディスカバリーページの専用フィードに自動で届くようになります。
公式サイトの Share デモ:共有メニューを開いてリンクをコピーし、ゲームカードを友達へ送信。映像は音声なしのため、日本語の画面説明を付けています。

ゲームは書き出し可能、公開範囲も細かく設定できる

Playgroundはソースコードのエクスポート機能を提供しつつ、作品の公開範囲を作成者自身が細かくコントロールできるよう配慮しています。

  • ワンクリックで全ソースコードを書き出し:制作スタジオの上部にある「Export (Download Zip)」ボタンをクリックすると、.zip形式の圧縮ファイルを直接ダウンロードできます。解凍したフォルダには、そのゲームを構成する完全なHTML、JavaScript、CSSコード、および生成された各種アセットファイルが含まれています。エクスポートしたファイルは実装の確認、バックアップ、別環境でのさらなる開発に活用できます。ただし、外部環境へ移行する際にはオンラインサービスに依存する機能がないか確認が必要であり、「書き出し可能」であることが直ちに「全機能がオフラインでそのまま動く」ことを意味するわけではありません。
  • 4段階の公開ステータス:新規作成された作品はデフォルトで非公開となっており、自動で公開されることはありません。作成者が手動で公開するか、公開範囲を変更する必要があります。4つのステータスにおける違いは以下の通りです。
ステータス 誰がプレイ・閲覧できるか 公開ディスカバリーに掲載されるか
Draft(下書き) 作成者本人のみ、個別リンクは未発行 いいえ
Private(非公開) 作成者本人のみ、コンパイル済みゲームをプレイ可能 いいえ
Unlisted(限定公開) 専用リンクを知っている全員 いいえ(ランキングにも不参加)
Listed(公開) 審査通過後、プラットフォームの全ユーザーに公開 はい(シングルプレイヤー作品ならランキング設定可能)
  • データの自己管理権:ユーザーは専用のMyActivityページからいつでもプレイ履歴を確認したり1件ずつ削除したりできるほか、設定画面からアカウントを削除し、ゲーム、スコア、関連データを抹消することも可能です(法令上保持が義務付けられているごく一部の記録を除く)。

生成クレジットの消費ロジック:仮確保され、コンパイル成功後に確定

ゲームの生成にはバックエンドのAI計算リソースを消費するため、Playgroundでは生成クレジット(トークン)を用いて制作回数を管理しています。

  • 無料枠と有料プランによる拡張:プラットフォームは作成者向けに、毎週自動更新される無料クレジット枠を提供しています。より高頻度でゲームを生成したい場合は、Google OneのAI上位プランに加入することで週間クレジット枠を増量できます。
  • 成功しなければクレジットは消費されない:Playgroundは「事前仮確保・完了後決済」のロジックを採用しています。「Generate」をクリックして生成を開始した段階ではトークンは一時的にキープ(仮確保)されるだけであり、ゲーム全体のコードが正常にコンパイルされ、ゲーム画面へ確実に遷移できた時点で初めてトークンが最終消費されます。生成中にユーザーが「Stop」を押して中断した場合や、生成エラー・タイムアウトが発生した場合には、仮確保されたトークンは自動的に全額アカウントへ返還されます。
  • バックグラウンド非同期生成:ゲームの生成にかかる時間は、アクセス集中度やプロンプトの複雑さによって変動します。生成画面の前でじっと待機し続ける必要はなく、画面を離れて他のプレイヤーのゲームを遊んで待つことができます。生成が完了すると、ゲームは「Your Games」一覧に自動保存されます。
  • ファミリー共有に関する制限:現在、Google Oneのファミリー共有機能ではPlaygroundのゲーム生成クレジットを共有することはできず、メンバー間でのクレジットの合算や譲渡には対応していません。

Unity Sparkとの連携は今後の計画、まだ広く公開されていない

Googleは将来的な計画として、PlaygroundをUnity Sparkと統合する方針を発表しています。より高度で本格的なメカニクス、高精度な3D表現、そしてUnityランタイムの性能を取り入れることを目指しています。現時点でGoogle側はテスト段階でありクローズドベータを近日中に開始する予定と説明しており、Unity公式サイト上でも「Coming Soon」の表示でウェイトリスト登録を受け付けている状態です。

Unity公式サイトにはすでに『Space Corridor』などのデモゲームが掲載されており、Googleはテキストプロンプトによる指示から出発して、より高度なUnity体験へと拡張できる環境を視野に入れています。具体的な接続方式や既存作品の移行手段について現在の資料では言及されておらず、これらの構想を「すでに全ユーザー向けに提供されている機能」と混同しないよう注意が必要です。

現在プレイできる対象と、ゲームを作成できる対象

現在、Playgroundは初期の実験フェーズに位置づけられており、利用には一定の制限が設けられています。

  • 地域および年齢制限:ローンチ時点では米国在住の18歳以上のユーザーのみがアクセス可能となっており、今後は順次対象国・地域の拡大が予定されています。
  • プレイは完全無料:対象地域および年齢要件を満たすユーザーであれば、公開ギャラリーに並ぶ既存のコミュニティゲームをすべて無料でプレイできます。
  • 制作権限は段階的に開放:生成用の計算リソースを段階的に増強している都合上、無料ユーザー向けのゲーム作成機能はウェイトリスト方式(公式サイトの「Join Waitlist」から登録し、順次承認を待つ形式)がとられています。一方、Google OneのAI会員プランを契約しているユーザーは、待ち時間なしで即座に制作権限がアンロックされます。

「ゲームを作ってみたいと思いながらも、プログラミングや複雑なエンジンの前に足踏みしていた」という一般のプレイヤーにとって、Playgroundはまったく新しい制作パラダイムを提示しています。ゲーム開発の根底にあるエンジニアリング処理をAIに委ねることで、作成者はより早い段階で実際に動くバージョンを手にし、遊びの面白さやルール、スマートフォンでの操作感といった本質的な調整へと集中できます。コードを書くという最初のハードルが下がったとしても、そのゲームが本当に面白いか、操作が心地よいかを判断し磨き上げるのは、やはり作り手自身の感性にかかっています。

↑ 本文ここまで
✓ この記事は全文無料です

メンバーは全文 Markdown のコピー・保存に加え、自分の AI に購読・質問させることができます。

原文を読む ↗
📮 新着解説をメールでいち早く

役に立ちましたか?メールを登録すると、新着解説を公開と同時にお届けします。解除はいつでも。