Magnific、38ページの画像・動画プロンプト新マニュアルを公開:いまの先端モデルでは従来の書き方が効かない
- 多くの人はいまだに「8K、超高精細、傑作」系の語を積み上げています。Magnific の38ページ無料マニュアルは、いまのモデル群にはもう効かないどころか、画像をスロップ寄りにすると指摘します。
- マニュアルの核心はこうです。スロップはモデルのデフォルトです。枠の位置、どの瞬間を切るか、光——埋めない穴はすべて、いちばん平均的な答えで埋まります。
- どのプロンプトにも貼れる文が2つ。「シネマティック感」の1行と「肌のリアル感」の1ブロック。さらに禁止ワード7つ。ultra sharp、hyper detailed、8K clarity などは AI感を呼ぶ合図です。
- 画面に出す文字は引用符で原文どおり。レイアウトはデザイナーへの指示と同じ粒度で。モデルは文字を「打つ」のではなく「置く」。
- いちばん直感に反する手法:最強の動画編集は動画モデルの中にありません。1コマ目を切り出して画像として直し、先頭フレームに戻し、元映像を動きの参照にする。同じカット・同じカメラワークで、指定した箇所だけが変わります。
- 動画エンジンの厳格なルールは8つ。画外に出たら消える、カット横断で追える役は最大3、鏡は正面ではなく回り込んで撮る。迷信に聞こえる、とマニュアル自身も書きますが、いずれもレンダ破綻のあとに残った教訓です。
このマニュアルが扱う3領域——画像・動画・映画級カメラワーク
Magnific は38ページの無料プロンプトマニュアル『The Prompting Handbook』を公開しました。画像生成だけでなく、AI 動画生成と映画級のカメラ制御まで一通りカバーしています。核にある考えはこうです。AI はすでに推論(Reasoning)を交え監督と対話する時代に入った。過去の効かないキーワードを捨て、はっきりした専門的な視覚言語で AI を指揮する。
現場ではこうなります。かつての「8K、超高精細、傑作、極限のディテール」はもう効かないどころか、画像をスロップ寄りにします。代わりにやるべきは、普通の言葉で完結したシーンを描くこと。監督が撮影班に指示を出すように、発注者がデザイナーに仕事を渡すように、被写体・動作・光・構図・スタイルを一つずつ明示します。いまのモデルは文を読みます。具体であるほど、モデルが勝手に埋める余地は小さくなります。
Magnific はもともと Javi López と Emilio Nicolás という2人のスペイン人が2023年末に作った AI 画像アップスケールツールです。資金調達も広告もなしに、公開5か月で登録72.5万件。2024年5月にストックフォト会社 Freepik に買収され、2026年4月28日、Freepik は社名そのものを Magnific に変えました。モデルは自前では訓練せず、各社モデルを接続して用途別に選ばせます。だからマニュアルのモデル一覧は、サイト内で使えるものそのものです。執筆は社内40人超の Magnific Studios。日常、このモデル群で映像制作会社やファッションブランド向けの本番案件を回しています。
38ページの内容
- 画像モデル7種の得意分野と仕事の振り方
- 画像プロンプトで押さえる6項目
- 画面内テキストを崩さない書き方
- マスクも再生成も要らない、一文での修正
- 同一キャラを何十枚でも揃える
- 検証済みの視覚語彙と、AI感の消し方
- omni アーキテクチャ:映像と音声を一度に生成
- 動画モデル4種の役割分担
- 動画プロンプトの8段構造
- 先頭フレーム・末フレーム・参照画像の役割
- 1コマ目を切り出して直す編集パイプライン
- 静止画1枚からシーン全体のカメラカバレッジへ
- 複数カットのつなぎ:5種の継ぎ目
- エンジンの厳格なルール8条(いずれもレンダ破綻から)
- カメラワーク12種のプロンプト書き方
- 台詞、口形、ビートに合わせた時間設計
- オーディション映像で演技を固定する
- 付録:壁に貼れる早見表1枚
読み終えたあとに残る要点
どのプロンプトにも貼れる文が2つ。「シネマティック感」の1行と「肌のリアル感」の1ブロック。絶対に書かない禁止ワード7つと、常備のネガティブプロンプト一式も。
仕事別に振るモデル対照表。画像7+動画4。1モデル万能主義から抜けられます。
書き方テンプレート2つ。画像6段・動画8段。埋めていけば漏れにくい。
動画修正のパイプライン1本。1コマ目を画像として直して戻す。同じカットで、指定箇所だけが変わります。
エンジンのルール8条。画外に出たら消える、追える役は最大3、鏡の正面撮りは避ける。レンダ崩壊の落とし穴を減らせます。
38ページには実プロンプト原文が20本以上あり、それぞれ生成結果の図が付きます。失敗例は失敗した見た目のまま示されます。以下はマニュアルの順に整理します。英語プロンプトはすべて原文のまま——モデルが読む文なので、訳すと効きません。
画像モデル7種は役割が違う:モデルを誤ると、文が良くても救えない
これらは互いに差し替えられません。それぞれ別の仕事のために作られています。モデル選定は文の巧拙と同じくらい重要です。だから選定表は第1章の最初のページに置かれ、どの書き方よりも前に来ます。
| モデル | 最も得意 | 最高解像度 |
|---|---|---|
| Nano Banana ProGoogle · Gemini 3 Pro Image | シネマティック感・美学重視の仕事、最難関プロンプト、メインビジュアル | 4K |
| Nano Banana 2Google · Gemini 3.1 Flash Image | 修正、製品・ブランド、大量イテレーション | 4K |
| Seedream 5.0ByteDance | ポスター、パッケージ、EC、スタイル統一の大量生成(参照最大10枚) | 4K |
| GPT Image 2OpenAI | 複雑なレイアウト、インフォグラフィック、文字精度が要る図 | 4K |
| Recraft V4.1Recraft | Logo、アイコン、ベクター素材、ブランドデザインシステム一式 | SVG · 2K |
| Flux.2Black Forest Labs | ブランド色を色番号まで、プロンプトを絵コンテ一覧に(参照最大10枚) | 2K |
| Krea 2Krea | スタイル参照とムードボードから質感を作る | 2K |
2つの Nano Banana の使い分け
Nano Banana 2 は2026年2月の新モデルで、日常の大半はこれで足ります。品質は Pro に近く、はるかに速く、文字が安定し、複数参照間の一貫性も最も強い。修正・製品・ブランドの既定選択はこれです。Nano Banana Pro は2025年11月世代の上位オプション。精密さ、ブランド級の再現、最難関プロンプトの磨き込みが必要なときに使います。遅いが上限は高い。
この2モデルは1枚あたりの価格が同じです。だから性格で振り、価格では振りません。価格が同じなので「節約」という変数が消え、残る問いだけになります。この1枚は速さが要るのか、精度が要るのか。
他のモデルにも癖があります。Flux.2 は「制御」用:参照を一度に10枚、指定の16進カラー、構造化された絵コンテ一覧に追従でき、最初から最後までロックするブランド/製品ラインに向きます。曖昧なプロンプトを渡すと、綺麗だが平凡な図が返ってきます。Krea 2 は対極で「スタイル」用:参照とムードボードから入り、既定の AI レタッチ感を避けます。代償は、指示より意図の解釈を優先し、画面内テキストが弱い点です。Recraft が一覧に入る理由は、組版依存の高いポスターと美術学校級のイラストに強く、この一覧で唯一、本物のベクターを書き出せるからです。
画像プロンプトで押さえる6項目:被写体、動作、場面、光、構図、スタイル
いまの画像モデルはキーワードの山ではなく、文を読みます。一貫したシーンを描けば、それに沿って組みます。Nano Banana Pro と 2、GPT Image 2、Seedream など推論するモデルは、情報の多いプロンプトをまず段に分けて読んでからレンダします。被写体やディテールが多くても持ちこたえます。
構造は6段。下図は実際の香水広告プロンプトを分解し、各段が画面のどこを担うかを示します。
6段をつなげば完全なプロンプトになり、下の図が得られます。瓶は右寄り、飛沫は隣で小さな王冠、硬いサイド光が濡れた石板をなでる。画面のすべてがプロンプトで先に名指しされており、モデルの独断は一箇所もありません。
同じ骨格を別方向に振ると、別の仕事になります。左はプロンプトをレイアウト・ブリーフとして書く:コピー、各要素の位置、余白。右はシネマティック感で、「どう見えるか」を表す語で印象づけます。
35mm film still: a woman in a red coat dashes across a rain-wet crossing at dusk, mid-stride with motion blur, a bus streaking past behind, sodium streetlight and shop-window glow, muted Kodak palette, natural grain, subject on the left third, full frame edge to edge, no letterboxing, no black bars.
シーンを書き、ラベルを書かない。被写体、何をしているか、どこで、どんな光、どう枠取るか、どんなスタイル——これで足ります。「8K」「傑作」系の盛り上げ語は全部飛ばします。
画面に出す文字は引用符で。表示どおりの語を引用符に入れ、位置も明示(「見出しは上部中央」)。製品パッケージのコピーも一字一句そのまま。そうしないとモデルが勝手に作ります。
試しは安く、仕上げは高精度で。1K で何度も探り、採用した1枚だけを 2K〜4K で再実行します。
本物の製品がいちばん難しい試験。素材、テクスチャ、ラベルの書体がレンダで生き残らねばなりません。画像側は Nano Banana 2、動画側は Seedance 2.5 が最も強い。納品前にラベルを拡大して必ず確認してください。
AI感はモデルのデフォルト:埋めない穴は平均的な答えで埋まる
この節はマニュアル全体の土台です。観察はこうです。どのモデルでも放置すれば同じデフォルトに向かう——被写体は中央でレンズを見、ポーズを決め、光は平坦、画面全体がクリアで、加工したような艶が乗る。
いまこれは専門語で slop と呼ばれます。直訳は残飯・スロップ。ひと目で AI 生成とわかる図のことです。人は0.5秒で気づき、気づいた瞬間の反応は「このブランドは本気じゃない」。マニュアルの態度は簡潔で、絶対に納品するな、という一点です。
スロップは既定値です。だからあなたが設定する各パラメータ(枠、瞬間、レンズ、時間、光)は、図を既定から一歩外へずらします。埋めずに残した穴はすべて、モデルがいちばん平均的な答えで埋めます。 The Prompting Handbook · Field notes: killing the slop(和訳)
下の組図は同一モデル・同一人物で、この文の意味がいちばんよく出ます。
図を既定から外す作業は2段です。まずこのカットを監督する(枠を少しずらす、本物の瞬間を切る、前後景の層を作る)。次にトーンを柔らかいシネマレンズ感へ寄せる(コントラストは軽く、焦点の遷移は滑らか、粒は細かく均一)。後者にはそのまま貼れる文があり、前者は自分で書くしかありません。
soft cinematic lens, shallow depth of field with creamy focus roll-off, gentle contrast with soft highlight roll-off, fine uniform film grain, no oversharpening, no digital look
Natural skin texture: realistic pores, fine hairs, subtle veining, a faint highlight. Tactile and real, not retouched plastic.
フィルムの痕跡で残してよいのは粒だけ。埃、傷、「古く傷んだフィルム」系は書かないでください。
枠を抑える経験則3つ
強化:no pouting, no parted lips, no seductive expression
画面に文字を出す:引用符で書き、レイアウトはデザイナーへの指示と同じ粒度で
プロンプトがいちばん崩れやすい箇所です。初心者ほど頻発します。理由はここ:モデルが文字を置くやり方はデザイナーと同じで、タイピストとは違います。伝えるべきはレイアウト。コピーはそこに埋める中身です。
効くやり方
- 語ごとに引用符、表示どおり一字一句、置き場所も明示(「見出しは上部に横並び」)
- 区画・カラム・階層をデザイナー並みに指示
- 文字要素は少数、文字サイズは1〜2種
- 特定の語がいつも崩れるなら、1文字ずつ綴る
- 文字に強いのは Seedream と GPT Image 2。長い段落は Recraft
失敗しやすいやり方
- 引用符なしの語は脚本としてではなくテーマとして解釈される
- 長い段落と小さなラベルの山は、組まれた文字ではなく描かれた形に崩れる
- フォントや字間の指定は当てにしない
- 頑固な語は単独で1回直す。デザイン全体を再生成しない
Vintage screenprint design poster, giant green condensed text filling the canvas: "A USER INTERFACE IS LIKE A JOKE." across the top half and "IF YOU HAVE TO EXPLAIN IT, IT'S NOT THAT GOOD." across the bottom half, simple black doodle figure centered in overprint, laughing with head thrown back, one hand slapping a knee, the other holding a computer mouse, halftone dot texture, risograph print effect, distressed ink, off-white paper background, bold graphic design, 2-color print, retro illustration.
マスクはもう不要:どこを直すか、何を動かさないかを言い切る
いまの修正は対話型です。直す箇所を言葉で言い、手描きマスクは不要。一文の公式はこう——何を直すかと、何を動かさないかを同時に言い、動かすものだけを名指しする。
弱い書き方
- 見出しを直して
強い書き方
- 見出しの文字だけを「FOCUS」に変更。フォント、サイズ、色、位置はすべて維持。
背景差し替え:製品と影をセットで保つ
@image1 Keep the product and its shadow exactly; replace the background with a soft, sunlit grey studio sweep.
同じ原図を、2方向に1回ずつ直す
2枚を合成し、存在しなかった瞬間を作る
@image1 @image2 The model from @image1 leans against a sunlit concrete wall raising the tumbler from @image2 toward camera, laughing off-camera, golden side light, shallow focus. Keep her face and the tumbler's label exactly.
修正の強みもモデルごとに違います。Nano Banana 2 は日常の主力で、任意領域の細部修正、カメラ位置の移動、焦点と色調の変更、昼シーンの夜への再ライティングまで。Seedream は参照を最大10枚までマージしつつ顔・光・色調を維持。Nano Banana Pro は1枚で5人・14物体を同時に混線なく管理。Recraft が返すのは編集可能な本物のベクターで、単なる PNG ではありません。
同じキャラを何度も出す:まず三面図を作り、以降は毎回それを添える
繰り返し登場するキャラにとって、これほどリターンの高い一手はありません。二度目に出す前に、三コマの設定表を一枚作り、以降すべての生成のマスターにすることです。
ルールは二つ。第一に、以後の生成では毎回この表を参照画像として添えること。第二に、そのキャラを書くプロンプトはすべて、この表に合わせて書くこと。記憶に頼らないこと。
reference: her portrait · Character sheet: one 16:9 frame divided into three equal panels on a pure white studio background. Left panel: straight-on head-and-shoulders portrait. Centre panel: exact side profile portrait. Right panel: full body, standing relaxed. The same woman in all three panels, the woman from the reference image, keeping her identity exactly: dark hair slicked back, magenta acetate sunglasses, natural lips, blue technical shell jacket with orange trim details, matching blue trousers and clean sneakers. Soft even studio light, no props, no text, fine film grain, photorealistic.
キャラを変えたいときは、すでに出した絵をいじらず、まずこの表を直す。服、髪型、年齢——どれも設定表を作り直し、変化を書き込み、新しい表から仕事を振る。ある瞬間に有効な設定表は、キャラにつき一枚だけです。
劇団が役者に撮る決め写真と同じです。一度決まったら、以降の全シーンはそれに従う。衣装を変えるなら直すのは決め写真であり、撮り終えたテイクではありません。
その語が言えないと、その絵は出ない:試した語彙リスト
ハンドブックの見立てはこうです。多くのチームが欲しい絵を出せないのは、技術ではなく語彙。業界でその「見え方」が何と呼ばれているかを言えない。だから短いリストを渡しています。
使い方に硬いルールがあります。ひとつのプロンプトに二〜三語重ねれば十分。一グループ丸ごと積まないこと。多すぎると語同士が薄め合い、いちばん効く語が効かなくなります。
muted palette + faded blacks + negative space
practical light only + atmospheric haze
焦点距離と F 値の数字は、ほぼ役に立たない。Magnific チームがほぼすべてのモデルで試した感触では、35mm、50mm、f/1.2 といった技術パラメータはモデルが区別できず、GPT Image 2 が部分的な例外、という程度です。
先の赤いコートで横断する絵に「35mm film still」と書いてあっても、上の話と矛盾しません。本当に働いていたのは隣に並んだ語——モーションブラー、褪せたコダック調、自然な粒状感——です。焦点距離を書いても構いませんが、欲しい見え方も必ず書くこと。レンダリングが反応するのは、効果を描く言葉のほうです。
動画側で変わったこと:一回の生成で、画と音が同時に出る
2026 年、動画側の最大の変化は「omni」アーキテクチャへの移行です。テキスト、画像、動画、音声が同じモデルに入り、同期した音声付きの完成クリップが一度で出る。前世代はテキストを渡すと無音の画が返り、音は別途でした。
| モデル | ネイティブ音声 | 尺 · 解像度 | 得意領域 |
|---|---|---|---|
| Seedance 2.5ByteDance | あり、リップシンク付き | 30 秒 · 4K | 既定の第一候補。品質と美しさがいちばん。一度に画像・動画参照を 50 まで |
| Kling 3.0 OmniKuaishou | あり、リップシンク付き | 15 秒 · 4K | キャラの一貫性、動き、台詞。製品上の文字がいちばん正確。顔と声のクローン演技も |
| Happy Horse 1.1Alibaba | あり、リップシンク付き | 15 秒 · 1080p | シネマティック感の短編、縦画面、トーキングヘッド。反復が速く、予算が厳しいときに |
| Gemini Omni FlashGoogle · 新 | あり、自前の声のみ | 10 秒 · 720p | 対話式の指示向け。プロンプト追従は Seedance 並み、画質は一段落ちる |
Gemini Omni Flash の使い方はハンドブックがかなり具体的です。こちらでゆるく方向を試し、最後は Seedance で仕上げる。声と発話は自分で生成しますが、こちらが渡した音声ファイルへのリップシンクはできません。Sora 2 と Wan 系列が広がりを見せますが、ハンドブックはそこまで評価を広げていません。
ハンドブックにない背景を補足すると、Happy Horse は 2026 年 4 月初旬、匿名で Artificial Analysis のテキスト動画生成ランキングに現れ、いきなり首位に立ったモデルで、4 月 10 日に Alibaba が自社製だと認めた。1.1 は淘天グループの未来生活ラボ発で、6 月 23 日公開。
いちばん混同しやすい二つの制御:先頭/末尾フレームと参照画像
先頭/末尾フレーム:この一ショットを担う
- 最初のフレームを固定し、必要なら最後も固定。中間の動きはモデルが生成
- このショットの入り方と着地を決める
- ショットを変えれば、フレームの組も変える
参照画像:誰が出るか、どんな見た目か
- キャラ、製品、スタイルの見た目をモデルに見せる
- タイムライン上のどこでも、何ショット跨いでも一貫する
- 瞬間は固定せず、見た目だけを担う
同じ生成で両方使えます。先頭フレームでオープニング構図を固定しつつ、キャラ参照を掛け、全編でブレさせない。
動画プロンプトの八段と六つのルール
動画プロンプトはショットの記述であり、タグの羅列ではありません。撮影班に指示を出す監督のつもりで書く。八段の順は、画角、カメラワーク、主体、動作、場面、光、スタイル、音です。
Vertical 9:16 medium shot. A hand lifts a coffee flask off a sunlit kitchen counter, quick push-in, steam rising. Bright natural morning light, clean and airy. SFX: gentle pour, ambient kitchen. No music. No subtitles.
各社で段落順は少し違います。Seedance はショット数・尺・画角を先に、そのあと主体→動作→環境→カメラ→スタイル。参照は @image1、@video1、@audio1。Kling は主体+動き+場面+カメラ+光+雰囲気。Happy Horse も同じショット記述の道。例外は Gemini Omni Flash だけ——対話式の指示向けに調整されており、まず雑に言ってから回を重ねて直せます。
生成された音楽はあなたをロックし、焼き込まれた字幕は消せない。だから生成段階は効果音と環境音だけ、字幕はオフ。BGM と字幕は編集段階に残す——そこがあなたの裁量域です。
台詞があるクリップでも no subtitles は残し、台詞はプロンプト内の引用符として生きさせれば十分です。
最強の動画編集は動画モデルの外:先頭フレームを画像として直し、戻す
ハンドブックでいちばん直感に反し、いちばんそのまま持ち帰れる一手です。出発点は単純な事実——クリップは先頭フレームに駆動される、ということ。
ここから先はこう続きます。先頭フレームがショットの見た目を決めるなら、任意の動画の先頭フレームを抜き、静止画として直す。画像モデルは「指示どおり直す」が最も強い。直したフレームを動画モデルに戻し、原クリップを動きの参照として掛ける。出てくるのは同じショット、同じカメラワーク、同じリズム。変わったのはあなたが指定した一箇所だけ。
まずクリップを用意する
例は Seedance 2.5 の 5 秒ショット。白いスニーカーが展示台に乗り、ゆっくり 180 度を回り、リムライトがソールを撫でる。一続きのテイク。生成でも実写でも構いません。
先頭フレームを静止画として書き出す
特別なツールは不要です。Magnific では毎回の先頭フレームがクリップと一緒に残るので、普通の画像として扱うだけでよい。上の一枚がそれです。
Nano Banana Pro でこのフレームを直す
修正はこの画像モデルで。指示どおり直す力が最も強いから。ルールはいつもの通り:直すものを名指しし、動かさないものを固定する。
@image1 Change the white sneaker to a matte-black colorway with black laces and a black sole; keep the pedestal, the lighting, the camera angle and everything else exactly.
直したフレームを Seedance に戻して再レンダ
それを先頭フレームにし、原クリップを動きの参照として掛ける。出てくるのは同じ周回、同じリムライトのスイープ、同じリズム。靴だけが変わっている。
@image1 @video1 Repeat the exact same slow 180° orbit and rim-light sweep as @video1, now around the matte-black sneaker from the start frame. Same pacing, same framing, one continuous take. No cuts.
先頭フレームが「どの画から始まるか」を固定し、動画参照が「どう動くか」を固定する。編集をこの二つに分けると、画像級の内容制御と、動画級の動きの一貫性を同時に取れます。
この手は連鎖もできます。任意のフレームを直す、任意のフレームから後ろを伸ばす、あるいは一枚ずつ全素材のスタイルを差し替える。
ついでに:一枚の静止画を、シーン全体のカメラカバレッジにする
同じ論理の変種があります。シーン画像を Seedance の先頭フレームに渡し(Kling も 4K なら可)、ゆっくりした通り抜けショットを作り、各角度で一拍止める。出てくるのは本物のロケハンに近いもの。止まった瞬間はすべて抜き出せるフレームで、光と場面が揃い、後の本番ショットの先頭フレーム、参照、背景板にそのまま使えます。
start frame: stadium still · Real-estate style drone fly-through shot from the stands of a packed football stadium during an evening match. The camera slowly moves through the tier, rotating and stopping for a beat facing each angle: the camera rotates right and slowly pushes in over the crowd toward the floodlit pitch, then rotates left and slowly pushes in along the rows of cheering fans close to the lens, then rotates 180 degrees and slowly pushes in toward the upper tier and roofline behind.
エンジンの八つの硬いルール:なぜキャラは最大三人か、なぜ鏡を正面から撮らないか
ハンドブックはこの節を「生成シーンの物理法則」と呼び、わざわざこう添えています。迷信に聞こえるが法律として扱え。各条は、あるレンダが破ったあとで書かれた。
複数ショットのつなぎ方:五種類の継ぎ目
複数ショットの一本は継ぎ目の列です。各継ぎ目は同じ問いの別回答——次のショットは、このフレームを継ぐのか、この動作を継ぐのか、何かを通り抜けるのか、それとも切るのか。
| 継ぎ目 | 中身 |
|---|---|
| フリーズ受け渡し | 第 N 段の最終フレームが第 N+1 段の先頭になる。前段を凍らせられる状態で終え、次段でそのまま再記述する。先の先頭フレーム改修パイプラインは、この継ぎ目を歩いている |
| アクションブリッジ | ある動作が前段末に始まり、次段冒頭で新しいカメラから完了する。両プロンプトで動作と方向を名指しする |
| マッチカット | 二フレームが同じ形・位置・色を共有し、場面だけが変わる。両段でその韻を踏む要素を名指しする |
| 通り抜け | 画面を埋める何か(瞳孔、蒸気、戸口)へ押し込み、別の場所から出る。一本につき一度まで。増やすと芸になる |
| ハードカット | きっぱり切る。モンタージュの論理。何もつなぐ必要がないときに使う |
クライアントが「シームレス/ワンカット/流れるように」と言えばフリーズ受け渡し。「切る/同時に/短い断片」ならハードカット。「変わる/化ける」ならマッチカット。言われなければ既定はハードカット。通り抜けを既定にしない。
もう二点。レンダ結果に従って次を書く。計画に従わない。次段を書く前に、前段の本物の末フレームを抜き、それに合わせて冒頭を書き直す。製品をロックする。製品の記述を、段ごとのプロンプトで一字一句繰り返す。その繰り返しが、独立した生成のあいだで一貫する理由です。連鎖の各段は 30 秒以内に収める。
十二のカメラワークと、二つの共通アドバイス
二つの共通アドバイス。複数のカメラワークを一つに重ねない。一クリップに一つ。ほぼすべてのカメラワークに「ゆっくり」を付ける。遅い動きはモデルの荒を隠す。速い動きはすべての破綻を晒す。
最後に:キャラにオーディションを一回
キャラ設定表がロックするのは顔。オーディションがロックするのは演技。本番の前に短い自撮りオーディションを一本撮り、動き方、話し方、指示への反応を見る。異なる「声の配合」で二〜三本作り、一本選び、勝ったクリップを以降の全シーンに動画参照として掛ける——設定表が見た目を担うのと同じ。ハンドブックの勘定はこうです。演技を一度で決めるほうが、たまたま当たるまで場面を何度も振り直すより安い。
Cinematic self-tape audition, one continuous take. Medium close-up, locked-off eye-level camera, shallow depth of field: a woman in her 30s against a plain grey wall, soft window light from the left, listening to an off-camera reader. A beat of silence; she looks down, then back up. She says, quietly: "You knew. The whole time, you knew." Voice: controlled, hurt, almost warm; it catches on the second "knew." Jaw tightens, one slow blink, the trace of a smile that is not one. She holds eye contact and says nothing more. Natural skin texture, fine film grain, muted palette. No music. No subtitles.
6-second product shot, one continuous take. 00:00 the watch lies flat on black stone, still. 00:02 it rises and rotates slowly to face camera. 00:04 it settles as a rim light sweeps across the dial. SFX: low hum, soft click. No music. No subtitles.
スロップはモデルのデフォルト回答:埋めなかった空白はすべて、いちばん平均的な答えで埋められる
Magnific 社内40人超のチームが書いた全38ページの無料ハンドブック。いまの画像・動画モデルへの指示の出し方を、図付きで1ページに凝縮。
↓ 1ページで読了 · 動く図あり
小互が香水の広告画像を依頼し、いつものやり方で「8K、超高精細、傑作、極限ディテール」をプロンプトに詰め込んだ。いまではこの手は効かないどころか、図をスロップ寄りに引っ張る。ハンドブックが教えるのは別のやり方:撮影チームに指示を出すように、完成したシーンを描き、やるべき選択を一つずつ埋めること。
これでは画面に何があるか伝わらない。モデルはいちばん平均的な見え方で埋めるしかない。
マットブラックの香水瓶。水滴が濡れたスレートに落ち、小さな王冠状の水しぶき。右から硬光が掃き、瓶は画面の右三分の一。
上の新書き方には骨格がある。六段——主体・動作・シーン・光・構図・スタイル。横に広げれば、各段が画面のどこを担うか一目でわかる。
六段をつなげれば一本の完成したプロンプト。出力された画像では瓶は右側、水しぶきは王冠状、硬光が濡れたスレートを掃く——いずれも事前に名指しされ、モデルの勝手な裁量に任せる箇所はない。
同じモデル、同じ人物で、プロンプトが「農家市の屋台の前で野菜の籠を掲げる微笑む女性」だけなら、出てくるのはきちんと整った、それでいてスロップの一枚:人物は正中央、カメラ正面、決めポーズの笑顔、前景から背景まで全部ピント。彼女を右三分の一へ移し、四分の三側面で背を向け気味に、画外へ笑う瞬間を捉え、前景の野菜カゴをぼかして枠にし、午後の暖かい側光を左から、肌には毛穴と散った髪を残す——この七〜八個の選択の積み重ねが差のすべて。ハンドブックは前者を slop(直訳すると「残飯」。一目でAI生成とわかる画像)と呼び、すぐ使える文言を二ブロック用意している。
シネマティック感の一行(画像・動画どちらでも):soft cinematic lens, shallow depth of field with creamy focus roll-off, gentle contrast with soft highlight roll-off, fine uniform film grain, no oversharpening, no digital look , 柔らかいシネマレンズ、浅い被写界深度、穏やかなコントラスト、細く均一なフィルムグレイン。過シャープ禁止、デジタル感禁止。
肌が出る画面にはさらに:Natural skin texture: realistic pores, fine hairs, subtle veining, a faint highlight. Tactile and real, not retouched plastic. , リアルな毛穴、細い産毛、わずかな血管、淡いハイライト。これを足さないと、モデルはデフォルトで人をプラスチックに磨いてしまう。
ultra sharp · hyper detailed · crisp · razor sharp · 8K clarity · HDR · ultra-realistic detail , この七つはAI感を呼び出す。中国語の「8K、超清、大师杰作」も同様。
dewy、sensual のような情緒語は滲む:どこに書いても画面全体を性的暗示へねじる。対策は明確な逆指示を足すこと。
動画側は今年アーキテクチャが変わった。テキスト・画像・動画・音声が同じモデルに入り、同期音付きの完成片が出る。ハンドブックはこれを omni(全モーダル)と呼ぶ。前世代は別途アフレコが必要だった。いちばん直感に反する手もこちら側:生成済みショットの直しは、いちばん効く道具が画像モデルを経由する。
動いている小さな四角が、抜き出した1フレーム目。先頭フレームが画面の始まりを固定し、動きの参照がレンズの動きを固定する。半分は画像モデルの指示どおりに直す力で中身を制御し、半分は動画モデルで連続性を守る。同じやり方で、素材全体を1フレームずつスタイル差し替えもできる。
38ページに本物のプロンプト原文が20本以上、生成結果の画像つき。以下は本文に全文コピペできる原文がある項目。
| やりたいこと | ハンドブックが渡す既成品 |
|---|---|
| モデル選び | 画像モデル7つ、動画モデル4つの役割表。2つの Nano Banana は1枚あたり同価格なので、気質で振り分け:速さは 2、精度は Pro。 |
| 図に文字を出す | 単語ごとに引用符、一字一句そのまま書き、置き場所も明示。渡すのはレイアウトで、文案は中に詰める中身。ある語がずっと潰れるなら、文字単位で綴って渡す。 |
| 1枚を直す | 直す対象を名指しし、触るなも固定。弱い書き方「タイトルを直して」;強い書き方「タイトル文字だけ直す。FOCUS に変更。フォント、字号、色、位置はすべて保持」。 |
| 同じキャラを繰り返し出す | 先に3コマ設定表(正面半身、標準側面、全身立ち姿)を作り、以降の生成に毎回付ける。見た目を変えるなら、直すのはこの表。 |
| 欲しい効果が言えない | 検証済みの語表が6組。光でいちばん頼れるのが shadowplay。焦点距離や絞りのような数字はモデルがほぼ区別できない。欲しい「見える効果」を書くのが効く。 |
| 複数ショットをつなぐ | エンジン規約8条:画外に出たら消える、ショット横断で追える役は最大3人、鏡の周りを撮れ、鏡に向かって撮るな。さらに継ぎ目5種。指定がなければデフォルトはハードカット。 |
きれい。及第点。
カメラ目線、
作り笑顔。
平均で埋める
- × ultra sharp
- × hyper detailed
- × crisp
- × razor sharp
- × 8K clarity
- × HDR
- × ultra-realistic detail
一つずつ指定。
サンプル数も評価者も不明。
いちばん平均的なものになる。
画像はデフォルトから抜け出す。